ジブコ エッジ540

ジブコ エッジ540：曲技飛行界のトップを走る高性能機

ジブコ エッジ540は、アメリカのジブコ・エアロノーティクス社が製造する、曲技飛行専用の航空機です。開発には、著名な曲技飛行士であるカービー・チャンブリスが深く関わっており、彼の意向が随所に反映された、高い操縦性と整備性を誇る機体として知られています。

機体の特徴

エッジ540は、単発単座の肩翼機で、尾輪式の固定脚を備えています。キャノピーは左開き式で、下方の視界を確保するため、機体下部の側面に透明なパーツが採用されているのが特徴です。機体構造は、軽量かつ堅牢な複合材で作られた鋼管製骨組で構成されており、未舗装の滑走路での離着陸や、激しい機動飛行にも耐えられる強度を持っています。

驚異的なパフォーマンス

エッジ540は、その優れた設計により、420度/秒という驚異的な横転率と、1,128m/分の上昇率を発揮します。これらの性能に加え、修理や改造が容易である点も、エッジ540が広く支持される理由の一つです。価格も比較的抑えられており、プロだけでなくアマチュアパイロットにも手が届きやすいのが魅力です。

レッドブル・エアレースでの活躍

エッジ540は、レッドブル・エアレース・ワールドシリーズのマスタークラスに参戦する選手に、改良モデルである540 V2が提供されています。カービー・チャンブリス自身もレースに参加しており、室屋義秀、マイケル・グーリアン、ハンネス・アルヒなど、多くのトップパイロットがエッジ540を愛用していました。2016年からは、カーボン素材の見直しや空力特性の改善など、レッドブル・エアレースに最適化された540 V3が最新モデルとして登場しました。レギュレーションにより、ウィングレットの追加や風防の形状変更などが許可されているため、選手の機体ごとに吸気口などの形状が異なっているのが特徴です。特に室屋義秀の機体は変更点が多く、540 V3.5とも呼ばれています。

練習機としての活用

機体形状はほぼそのままに、教官が同乗できるタンデム複座モデルの540Tも販売されており、高度な曲技飛行の練習機として広く利用されています。

チャレンジャークラスへの導入

2018年からは、レッドブル・エアレース・ワールドシリーズのチャレンジャークラスの機体も、ジブコ エッジ540 V2に変更されました。機体塗装は、1号機が青色、2号機が黄色、3号機が赤色をベースに、チャレンジャークラスの表記がされています。

ジブコ エッジ540は、その高い性能と信頼性で、曲技飛行の世界において確固たる地位を築いています。これからも、多くのパイロットたちに愛され、空を舞台にした華麗なパフォーマンスを支え続けるでしょう。

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