ジブラルタル包囲戦 (1779年-1783年)

ジブラルタル包囲戦

ジブラルタル包囲戦は、アメリカ独立戦争の時期にあたる1779年から1783年にかけて展開された重要な軍事衝突である。この戦闘は、イギリスからのジブラルタルの奪取を狙ったスペインとフランスの連合軍と、イギリス守備軍との間で繰り広げられた。

背景

1779年、スペインはイギリスに対し正式に宣戦布告した。前年にはフランスも同様に戦争に突入しており、両国はイギリスから失った領土の奪還と、地中海におけるイギリスの海上支配の象徴であるジブラルタルを無力化することを目指していた。ジブラルタルは、その戦略的な位置から、イギリスの地中海進出にとって欠かせない拠点であった。

経過

1779年7月、フランスとスペインの連合軍はジブラルタルを包囲し、イギリス軍指揮官ジョージ・オーガスタス・エリオットのもと、イギリス守備隊は持続的な攻撃にさらされた。この包囲戦における最も激しい戦闘は、1782年9月13日に発生した。当時、連合軍の兵力は約10万人、艦艇は48隻にも及んだが、イギリス軍の守備隊はその攻撃に対して堅固な防備を維持した。

この戦闘の中で、スペインは新しい兵器「浮き砲台」を用い、湿った砂を詰めた筏を使用して精密な砲撃を試みたが、イギリス軍は炉で熱した砲弾を用いて反撃し、これを撃退した。この攻防は、両軍がその戦術を駆使して、果てしない消耗戦を展開したことを物語っている。

1783年の2月、ついに包囲は終了し、ジョージ・オーガスタス・エリオットはその功績を讃えられ、初代ヒースフィールド男爵に叙された。また、ヴェルサイユ条約により、先の諸条約が確認される運びとなった。

芸術分野での影響

この壮絶な戦闘は、その後の芸術作品にも大きな影響を与えた。1782年12月末、音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、包囲戦を称賛する歌曲『ジブラルタルを歌う吟遊詩人の歌：おお、カルペよ！お前の足下に雷鳴はとどろく』を作曲したが、詩の誇張を不満とし、未完に終わった。また、モーツァルトがイギリスに対して好意的だったことは、父への手紙からもうかがえる。

さらに、絵画においても当時の戦局が表現されており、アメリカの画家ジョン・シングルトン・コプリーは『ジブラルタル浮き砲台の敗北、1782年9月』という作品を制作した。また、ジョン・トランブルの『1781年11月27日朝のジブラルタル守備隊の襲撃』も、戦局の緊迫感を伝える作品として知られている。

まとめ

ジブラルタル包囲戦は、単なる軍事的対決を超え、後の文芸や美術、そして広く歴史に刻まれる重要な出来事であった。イギリス軍が困難な状況を耐え抜いた姿勢は、後世に難攻不落の要塞としてのジブラルタルの名を広め、歴史的意義を持つ戦闘として語り継がれている。

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