ジホスホトランスフェラーゼ

ジホスホトランスフェラーゼ

ジホスホトランスフェラーゼ（英語名: Diphosphotransferase）は、生化学反応において、ある分子から別の分子へピロリン酸基（PPi）を効率的に受け渡す働きを持つ酵素群を指します。この化学反応は、基質の活性化や、高エネルギーリン酸結合の利用など、様々な生体機能に不可欠です。

酵素は、触媒する反応の種類に基づいて体系的に分類されています。ジホスホトランスフェラーゼは、広い意味での転移酵素（ECクラス2）の一種です。転移酵素は、ある分子から別の分子へ特定の原子団を移す反応を触媒します。その中でも、特にリン酸基を含むグループを転移させる酵素は、ECサブクラス2.7「リン酸基転移酵素（Phosphotransferases）」に分類されます。

さらに細かく分類される中で、ピロリン酸基の転移を専門に行う酵素群がEC番号2.7.6に割り当てられています。この分類番号を持つ酵素は、ジホスホトランスフェラーゼとして認識されます。

EC 2.7.6に分類される代表的なジホスホトランスフェラーゼには、以下のような酵素が含まれます。

EC.2.7.6.1 リボースリン酸ジホスホキナーゼ
リボース-5-リン酸を出発点として、ヌクレオチドなどの合成に必要なホスホリボシルピロリン酸（PRPP）を生成します。ATPからピロリン酸基を転移させます。

EC.2.7.6.2 チアミンピロホスホキナーゼ
ビタミンB1（チアミン）を補酵素であるチアミンピロリン酸（TPP）に変換します。これもATPなどからピロリン酸基を転移させる反応です。TPPは、代謝経路で重要な役割を果たします。

EC.2.7.6.3 2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロキシメチルジヒドロプテリジンジホスホキナーゼ
プテリジン類の代謝に関与し、葉酸などの生合成経路に関わる可能性があります。

EC.2.7.6.4 ヌクレオチドジホスホキナーゼ
ヌクレオチド代謝に関わる酵素の一つとして、ピロリン酸基の転移を通じて特定のヌクレオチドの変換に関与すると考えられています。

EC.2.7.6.5 GTPジホスホキナーゼ
主に細菌のストレス応答に関わる特殊なヌクレオチド、例えば(p)ppGppと呼ばれるマジック・スポット分子の合成に関与します。GTPやGDPにピロリン酸基を転移させる反応を触媒します。

これらの酵素は、それぞれ特定の基質に対して作用しますが、共通してピロリン酸基の転移という化学的な機能を持ちます。この働きを通じて、生体内の様々な合成経路や調節機構において重要な役割を担っています。

ジホスホトランスフェラーゼに関するより詳細な情報は、MeSHのような生物医学データベースで参照することが可能です。

関連項目

転移酵素

外部リンク

* MeSH Diphosphotransferases

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