MeSH

MeSH（Medical Subject Headings）とは

MeSH（メッシュ）は、米国国立医学図書館（NLM）によって開発された生命科学に関する専門的な用語集です。これは、医学文献を適切に整理し、検索しやすくするための体系を提供しています。特に、MEDLINEデータベースに収録された文献に対して、10〜15個の用語を付与することで、その内容を効果的に表しています。毎年改訂され、新しい知識や用語を追加することで、最新の生命科学に対応し続けています。

MeSHの構成要素

MeSHは以下の3つの基本構成要素から成り立っています。

1. 定義語（Descriptors）
定義語は文献の主題を示し、医学や生物学のさまざまな概念を表します。例えば、「喘息（Asthma）」、「大腸菌（Escherichia coli）」、「腫瘍幹細胞（Tumor Stem Cells）」などがあり、これは階層的に整理されています。

2. 副表題（Qualifiers）
副表題は、定義語と組み合わせて使うことで、より特定の領域や文脈を示します。具体的には、「診断（diagnosis）」、「治療（therapy）」、「手術（surgery）」などの関連用語が含まれています。

3. 補足用語（Supplementary Concept Records）
補足用語は薬物や化学物質などを特定するための用語です。これにより、さまざまな物質が適切に分類されます。

加えて、文献の発表形態や地域を定義する用語も存在し、例えば「学術誌の記事（Journal Article）」や「解説（Editorial）」といったカテゴリーがあります。さらに、MeSHに収録されている同義語や類義語も多く、医療に関連する用語の検索を容易にしています。

階層構造の重要性

MeSHは階層的に構造化されており、上位に位置する用語から下位に特化した用語にかけて、組織的に配置されています。この階層性により、例えば「癌腫（Carcinoma）」という用語で検索を行うと、関連する下位用語である「腺癌（Adenocarcinoma）」や「基底細胞癌（Carcinoma, Basal Cell）」なども同時に検索することが可能です。

歴史と進化

MeSHの歴史は1879年にさかのぼります。米国国立医学図書館の前身である軍医総監局図書館が「Index Medicus」という医学文献の索引を発行しました。これは、当時の医学文献を整理する手段として使用されていましたが、文献数の増加に伴い、コンピューター化の必要性が高まりました。1960年にはこのデータを効率的に管理するためのプロジェクト「MEDLARS」が始まり、MeSHの初版が作成されました。以降、定義語の数や階層の整理が進み、毎年の改訂が行われています。

MeSHは生命科学の研究や医療分野において欠かせない情報源となっており、今後も進化し続けることでしょう。

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