ジミー・クリーブランド

ジミー・クリーヴランド（1926-2008）は、アメリカ合衆国が生んだ傑出したジャズ・トロンボーン奏者である。モダンジャズにおけるトロンボーンの革新者、J・J・ジョンソンの影響を色濃く受けたその演奏スタイルは、洗練された技術とモダンな音楽性を兼ね備えていた。

クリーヴランドは16歳でトロンボーンを手にし、大学のバンドなどで音楽活動の基礎を築いた。プロのキャリアにおける重要な転機は、24歳の頃にライオネル・ハンプトン楽団に加入したことである。1950年頃から1953年まで約3年間ハンプトン楽団に在籍し、ジャズ界での地位を確立していった。その後、彼は自身のリーダーとして複数のアルバムを発表すると同時に、当時のジャズシーンを彩った多くの著名ミュージシャンたちとの共演を重ねた。トランペットのマイルス・デイヴィス、バリトンサックスのジェリー・マリガン、ベースのオスカー・ペティフォード、作曲・編曲家でバンドリーダーのクインシー・ジョーンズ、そしてピアニストのセロニアス・モンクなど、その名前を挙げればきりがない。特にマイルス・デイヴィスとの関わりは深く、彼の代表作である『ポーギーとベス』や『マイルス・アヘッド』といったアルバムでクリーヴランドの演奏を聴くことができる。また、クインシー・ジョーンズが1959年から1960年にかけて行ったヨーロッパ・ツアーにも主要メンバーとして参加し、その国際的な活躍の場を広げた。クリーヴランドは1993年までプロとして第一線で活動したが、引退後もロサンゼルスのジャズ・クラブなどで演奏を続け、生涯音楽と共にあった。

彼の演奏スタイルは、前述の通りJ・J・ジョンソンの影響が顕著であり、ビバップ以降のモダンジャズに適した、流麗かつ知的なアプローチが特徴である。速いパッセージでもクリアな発音と正確な音程を保ち、豊かな表現力で聴衆を魅了した。そのモダンなセンスは、数多くのレコーディングセッションで重宝され、多くのミュージシャンに影響を与えた。

私生活では、ジャズ歌手として活躍したジャネット・サーロウと結婚している。音楽一家として、共にジャズの世界に貢献した。

リーダーとしてのディスコグラフィには、モダンジャズ期のトロンボーン演奏を知る上で重要な作品が含まれる。1955年の『Introducing Jimmy Cleveland and His All Stars』、フランク・ウェス他との共演盤である1956年の『トロンボーン&フルート』、1957年の『クリーヴランド・スタイル』、1958年の『A Map of Jimmy Cleveland』、そして1959年の『Rhythm Crazy』などがあり、これらは彼が自身の音楽性を追求し、リーダーとしての才能を発揮した証である。

ジミー・クリーヴランドは、モダンジャズにおけるトロンボーンの地位を確立した一人として、また多くの名演を彩ったセッションマンとして、ジャズ史に確固たる足跡を残した。彼の卓越した技術と洗練された音楽性は、今日なお多くのジャズファンに愛され続けている。

もう一度検索