ジム・デブリン

ジム・デブリン（1849年6月6日 - 1883年10月10日）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア出身の野球選手で、主に1870年代にメジャーリーグベースボールで活躍した投手です。右投げ右打ちのデブリンは、プロ野球界の歴史に名を刻む一方、悲劇的な経歴を持つ選手でもあります。

デブリンは1873年にフィラデルフィア・ホワイトストッキングスに内野手として入団しました。主に一塁手としてプレーしましたが、翌年の1874年にはシカゴ・ホワイトストッキングス（現在のシカゴ・カブス）に移籍し、一塁手と外野手としての役割を担いながら肩の強さを活かし始めました。1875年からは投手として起用され、同年には28試合に登板し、7勝16敗という成績を残しました。この年の防御率は2.89とまずまずのパフォーマンスを見せました。

1876年にはナショナルリーグが創設されると、新たに設立されたルイビル・グレイズに移籍し、チームの中心選手として活躍。彼はその年、71試合中68試合で先発し、622イニングに及ぶ投球時間を記録しました。その結果、30勝を上げ、121奪三振はリーグ最多、防御率も1.56という素晴らしい成績を残しましたが、一方ではリーグ最多の35敗を記録するなど、辛い運命とも共鳴したシーズンでもありました。

翌年の1877年もデブリンは61試合を一人で投げ切り、35勝20敗という成功を収めました。投球回数はこの年もリーグ最多となり、ルイビル・グレイズは優勝争いに名を連ねましたが、惜しくも優勝には届きませんでした。しかし、シーズンオフに入ってから、グレイズの選手たちが八百長に関与していたとの疑惑が浮上します。デブリンもこの問題に巻き込まれ、調査の段階で彼は八百長への関与を告白することになります。

最終的にデブリンを含む4人の選手はナショナルリーグの会長ウィリアム・ハルバートによって永久追放処分を受けることとなりました。デブリンはこの裁定について復帰を懇願しましたが、その願いは叶うことはありませんでした。

野球選手としてのキャリアを終えた後、デブリンは地元フィラデルフィアに戻り、しばらくは警察官として働いていましたが、1883年には結核に罹病し、34歳という若さで命を落としました。

デブリンの惜しい才能とその後の悲劇的な運命は、スポーツ界における倫理や信頼性の重要性を再認識させるものであり、その存在は今も多くの人々に語り継がれています。彼が獲得した最多奪三振のタイトルや通算防御率1.90（歴代5位）など、彼の成績は偉大なものでしたが、同時に彼の野球人生が抱えた闇の一面も、忘れてはならない事実です。

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