ジャガー・X351

ジャガーXJ(X351型) - エレガンスとパフォーマンスの融合

ジャガーXJ(X351型)は、2010年から2019年にかけて製造された、ジャガーを代表する高級セダンです。Fセグメントに属し、同社のフラッグシップモデルとして君臨しました。XJシリーズの4代目にあたるこのモデルは、革新的な技術と洗練されたデザインで、世界中の自動車愛好家を魅了しました。

洗練されたデザインと優れた空力性能

X351型は、伝統的なXJのデザインを大胆に刷新しました。1968年デビューのシリーズ1以来のアイコニックな丸型4灯ヘッドランプやロングノーズ・ロングデッキスタイルは採用せず、新しいデザイン言語を採用。イアン・カラム率いるデザインチームによって生み出されたスタイリングは、滑らかな曲線とシャープなエッジが織りなす、流麗で躍動感あふれるシルエットを実現しています。

特徴的なティアドロップ型のサイドウインドウは、ロングルーフプロポーションと見事に調和し、優れた空力性能（Cd値0.29）に貢献しています。さらに、パノラミックサンルーフが室内に開放感と明るさをプラスし、サルーンモデルの中でも最高レベルの広々とした室内空間を実現しています。

インテリアは、最高級レザーをふんだんに使用し、細部まで丁寧に仕上げられています。14種類のカラーテーマ、11種類のオーナメントパネル、10種類のレザーカラー、3種類のレザー素材から選択可能で、まさにオーダーメイドのようなカスタマイズが可能です。インストルメントパネルには、ジャガー初となる「Jaguar iTech」を採用。高解像度ディスプレイによるバーチャルインストルメントが、ドライバーに情報を鮮やかに伝えます。

軽量化されたアルミニウムボディとパワフルなエンジン

ボディの99％にアルミニウム合金を採用した、ジャガー独自の次世代アルミニウムボディ構造は、先代モデルと比較して約10％の軽量化を実現しました。溶接工程を廃し、接着とリベットのみで組み立てることで、ライバル車と比較しても約150kgもの軽量化に成功しています。リベットの数は、先代モデルと比べて11％少ない2,800個に抑えられ、リサイクル原料を50％使用した環境にも配慮した設計となっています。

エンジンラインナップは、当初は5.0L V8 NAエンジン、スーパーチャージャー付きV8エンジン、そして欧州仕様車には3.0L V6ディーゼルツインターボエンジンが用意されていました。スーパーチャージャー付きV8エンジンは、「ポートフォリオ」用470PSと「スーパースポーツ」用510PSの2種類がありました。その後、ダウンサイジングコンセプトの導入により、2.0L直4ターボエンジンと3.0L V6スーパーチャージャーエンジンが追加されました。トランスミッションはZF製6速ATが全車に搭載され、ジャガー独自のダイヤル式「ジャガードライブセレクター」とパドルシフトで操作します。

多彩なモデルバリエーションと生産終了

XJ(X351型)は、ショートホイールベースとロングホイールベースの2種類が設定され、ロングホイールベース車は後席スペースを大幅に拡大しています。販売期間中には、複数のモデルチェンジと特別仕様車が追加されました。例えば、高性能モデル「XJR」や、ラグジュアリー感を極めた「オートバイオグラフィー」、そしてスポーティな「Rスポーツ」などが登場し、顧客の多様なニーズに対応しました。2019年には、50周年記念モデル「XJ50」や、最終モデルとなる「XJR575“V8”ファイナルエディション」が発表され、その歴史に幕を閉じました。

まとめ

ジャガーXJ(X351型)は、伝統と革新が融合した傑作セダンと言えるでしょう。そのスタイリッシュなデザイン、高い走行性能、そしてラグジュアリーな室内空間は、今もなお多くの自動車ファンを魅了し続けています。このモデルは、ジャガーの歴史の中でも重要な位置を占め、その後のジャガーのデザインや技術に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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