ジャクリーヌ・ササール

ジャクリーヌ・ササール：イタリア映画を彩った青春スターの軌跡

ジャクリーヌ・ササール (1940年3月13日 - 2021年7月17日) は、フランスのニース出身の女優です。彼女の生涯は、エキゾチックな幼少期からイタリア映画界での華々しい活躍、そして謎めいた引退劇まで、ドラマチックな展開に満ち溢れています。

ササールは、高級官吏であった父親の赴任に伴い、6歳までカメルーンで過ごしました。その後、母親と共にニースに戻り、思わぬ出会いが彼女の運命を大きく変えます。1956年、ニースで出会ったオットー・プレミンジャー監督との縁は、フランソワーズ・サガンの小説を映画化した『悲しみよこんにちは』への出演に繋がりかけましたが、英語が話せなかったことが原因で実現しませんでした。しかし、この出来事が、後のササールのキャリアに大きな影響を与えます。

プレミンジャー監督との出会いをきっかけに、ササールは映画監督ヴァレリオ・ズルリーニに見出され、1957年公開の『芽ばえ』で映画デビュー。この作品での鮮烈な演技が注目を集め、瞬く間にイタリア映画界の青春スターへと駆け上がります。続く『三月生れ』(1958年)、『お嬢さん、お手やわらかに!』(1959年)、『みんなが恋してる』(1959年)など数々の映画で主演を務め、そのキュートな容姿と演技力で観客を魅了しました。特に、『三月生れ』で着用したコートは、日本のアパレルメーカーにヒントを与え、「ササール・コート」として流行を生み出すなど、ファッション界にも影響を与えました。彼女の個性的なヘアスタイルも「ササール・カット」と呼ばれ、注目を集めました。

ササールの活躍はイタリア映画界にとどまりません。彼女は『タイタンの逆襲』(1962年)、『サンドカン総攻撃』(1963年)といった冒険活劇にも出演し、幅広い演技力を披露しています。また、1967年にはイギリス映画『できごと』、1968年にはフランス映画『女鹿』に出演するなど、国際的な活躍も見せています。

しかし、1968年、27歳の若さでササールは突如芸能界から引退します。その理由については、現在も謎に包まれた部分が多く、様々な憶測が飛び交っていますが、確かな情報は少ないです。

ササールが残した作品は、彼女の輝かしい才能と魅力を今に伝えています。彼女が出演した映画は、イタリア映画黄金時代の華やかさを象徴する作品が多く、それらは現在でも高い評価を受けています。彼女の存在は、時代を超えて多くの映画ファンに記憶され、その魅力はこれからも語り継がれていくことでしょう。

主な出演作品

『芽ばえ』(1957年)
『三月生れ』(1958年)
『女は選ぶ権利がある』(1959年)
『お嬢さん、お手やわらかに!』(1959年)
『みんなが恋してる』(1959年)
『激しい季節』(1959年)
『タイタンの逆襲』(1962年)
『サンドカン総攻撃』(1963年)
『イ・ピラーティ・デッラ・マレーシア』(1964年、日本未公開)
『できごと』(1967年)
『女鹿』(1968年)

テレビ出演

スター千一夜（フジテレビ、1963年12月12日）

もう一度検索