ジャコビー・ジョーンズ

ジャコビー・ジョーンズ：電光石火のリターナーの軌跡

ジャコビー・ジョーンズ（Jacoby Jones、1984年7月11日 - 2024年7月14日）は、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身の元アメリカンフットボール選手です。主にワイドレシーバーとして活躍しましたが、その名をNFLの歴史に刻んだのは、スペシャリストとしての才能、特にリターナーとしての卓越した能力でした。

生い立ちとカレッジ時代

高校時代、ジョーンズはアメリカンフットボールに加え、バスケットボールと陸上競技にも才能を発揮しました。2002年にサウスイースタンルイジアナ大学に進学しますが、2003年にはNCAAディビジョンIIのレーンカレッジに転校します。レーンカレッジでは、リターナーとして頭角を現し、SIAC（Southern Intercollegiate Athletic Conference）のオールチームに3度選出されるなど、その才能は早くから注目を集めました。

NFLでの輝かしいキャリア

2007年のNFLドラフトで、ジョーンズはヒューストン・テキサンズから3巡目で指名を受け、プロとしてのキャリアをスタートさせます。テキサンズでは、ワイドレシーバーとしての役割に加え、リターナーとしての才能も開花させました。

2008年には、飲酒運転で逮捕されるというトラブルもありましたが、第8週のシンシナティ・ベンガルズ戦で73ヤードのパントリターンTDを記録するなど、その活躍は目覚ましく、週間MVPにも選ばれています。2009年には、テネシー・タイタンズ戦でプロ初のTDレシーブを記録し、オークランド・レイダース戦では95ヤードのキックオフリターンTD、マイアミ・ドルフィンズ戦では70ヤードのパントリターンTDを記録するなど、スペシャルチームだけでなく、オフェンスでも存在感を示しました。

2012年、ジョーンズはテキサンズから解雇され、ボルチモア・レイブンズと契約を結びます。レイブンズでは、その才能がさらに開花しました。同年10月14日のダラス・カウボーイズ戦でNFLタイ記録となる108ヤードのキックオフリターンTDを記録すると、11月にはAFC月間MVPスペシャルチーム部門に選出され、自身初のプロボウルにも選ばれました。

デンバー・ブロンコスとのAFCチャンピオンシップゲームでは、7点ビハインドの状況で、残り時間31秒に同点となる70ヤードのTDレシーブを記録し、チームをスーパーボウルへと導きました。

スーパーボウルでの伝説

サンフランシスコ・フォーティナイナーズとの第47回スーパーボウルは、ジョーンズのキャリアにおけるハイライトと言えるでしょう。第2Q残り2分を切ってから56ヤードのTDレシーブをあげると、後半開始のキックオフでは、スーパーボウル記録となる108ヤードのキックオフリターンTDを記録しました。この試合で、ジョーンズはキックオフで206ヤード、パントリターンで28ヤード、レシーブで56ヤードを記録し、スーパーボウルでのオールパーパスヤード記録を更新する290ヤードを獲得。チームの勝利に大きく貢献し、スーパーボウルリングを手に入れました。

その後

2013年以降は怪我に苦しみ、2015年にはピッツバーグ・スティーラーズと契約しますが、かつての輝きを取り戻すことはできませんでした。

2024年7月13日から14日にかけて、睡眠中に死去。40歳という若さでした。

記録

ジョーンズは、数々のNFL記録とテキサンズ、レイブンズのチーム記録を保持しています。

NFL記録
最長キックオフリターン：108ヤード（タイ記録）
スーパーボウルでの最長キックオフリターン
スーパーボウルでの最長プレー：108ヤード
* スーパーボウルオールパーパスヤード：289ヤード

ジャコビー・ジョーンズは、その電光石火のリターンスキルで、多くのファンを魅了しました。彼のスーパーボウルでの活躍は、NFLの歴史に永遠に語り継がれるでしょう。

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