ジャスティン・キング

ジャスティン・キング：革新的なギタリスト、その音楽と多様な活動

ジャスティン・キング（Justin King）は、1979年6月13日生まれ、アメリカ合衆国オレゴン州出身のギタリストであり、同時にカメラマンとしても活動する多才なアーティストです。彼は、アコースティック・ギターを用いたパーカッシブなタッピングスタイルの先駆者として広く知られています。彼の音楽は、フラメンコやケルト音楽など、多様なジャンルからの影響を受けており、独自の音楽性を築き上げています。また、ミュージシャンや音楽ディレクターとしての活動に加えて、一時期はフォトジャーナリストとしても活躍していました。

生い立ちと音楽への目覚め

キングはアラスカ州パーマーで生まれ、ワイン業界で著名な家系に育ちました。カトリック系の学校に8年間在籍した後、高校を中退し、サンフランシスコで絵画を学びました。14歳頃からドラムやギターを始め、後に彼のベーシストとなるドリュー・ドレスマン（Drew Dresman）と共に作曲や演奏活動を開始しました。アコースティック・ギターは19歳頃から本格的に始め、1999年には初のソロ・アルバム『Justin King』、2000年には『Opening』を発表しました。

『Le Bleu』とスタジオ設立

2001年、キングはヨーロッパ各地、アイルランド、イギリスを旅し、その後、彼の代表作となる『Le Bleu』を発表しました。このアルバムは、アコースティック・ギターのインストゥルメンタル作品で、イギリスのスタジオでレコーディングされました。このスタジオでの経験がきっかけとなり、彼はアメリカ帰国後に自身のレコーディング・スタジオを設立することを決意します。スタジオ完成までの約2年間、彼はソロ・ギタリストとして、ジェームス・テイラー、B.B.キング、ダイアナ・クラール、アル・グリーン、North Mississippi Allstarsなど、数々の著名アーティストのオープニングアクトを務め、アメリカ中をツアーしました。

スタジオ完成後、彼は新たなインストゥルメンタル・アルバム『I-XII』を制作しました。その後、バンドを結成し、約1年間アメリカをツアーした後、2006年にエピック・レコードと契約し、メジャーデビューを果たしました。バンドとしてのレコーディングは、彼のスタジオの他、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなどのスタジオで行われました。レコーディングには1年以上を費やし、その間も国内外でツアーや演奏活動を続けました。しかし、エピック・レコードの代表者や担当A&Rの退任などの問題が重なり、約1年後に契約解除を申し出ました。エピック・レコードはバンドに全権限を譲渡し、その後アルバムをリリースしましたが、2007年にバンドは解散しました。

フォトジャーナリストとしての活動

バンド解散後、キングはフォトジャーナリストとしての活動を開始し、2008年8月にはイラクでオレゴン州軍に同行し、戦場の様子を撮影しました。イラクでの取材内容や写真は、イギリスBBCのウェブサイトに掲載され、オレゴン州のニュース雑誌でも紹介されました。また、オレゴン州ポートランドの大学で油絵と写真の学位を取得しています。

多様なプロジェクトと音楽性

2001年に発表された『Le Bleu』は、彼のアコースティック・ギターのテクニックと表現力を最大限に引き出したアルバムであり、個人公開にも関わらず世界的に高い評価を受けました。特に、インターネットに公開されたビデオクリップ「Phunkdified」のアップテンポバージョンは、多くの若いギタリストを魅了し、彼のユニークなタッピングスタイルを広めるきっかけとなりました。また、ユージーンでのライブにおける「Knock On Wood」のクリップでは、Doolinのダブルネック・アコースティック・ギターが紹介されました。

『Le Bleu』の発表後、キングはRaging Familyと共に『Le Bleu』のエレクトロミックス・バージョンのプロジェクトや、Carlos VamosやMichael Manringとのコラボレーション・プロジェクトを開始しました。これらのプロジェクトは、ボーカルソングやロックなど、より現代的な音楽性を追求したものでした。

『Humilitas Occidit Superbiam』は、彼自身が様々な楽器（チェロ、ドラム、キーボード、ベース、ギターなど）を手掛けたソロ・アルバムであり、新たな挑戦となりました。このアルバムは、彼のMyspaceで発表され、2009年にデジタル版のみでリリースされました。

2001年からはニューヨークのブルックリンにスタジオを設立し、現在は生まれ故郷であるオレゴンに戻り、新たにスタジオを設立しています。

こだわりの使用ギター

キングは、使用する機材へのこだわりが強いことでも知られています。彼は、様々なアコースティックギターとエレキギターを所有し、それぞれのギターの特性を活かした演奏をしています。特に、Doolinに製作を依頼したダブルネック・アコースティック・ギターは、彼の独特なタッピングスタイルを実現するために特別な仕様で作られています。このギターは、両ネックともに6弦で同じDADGADチューニングとなる仕様であり、弦が340ポンドのテンションに耐えながら、アコースティック・ギターとして満足な音を得ることが難しいという挑戦的な試みでした。Doolin独自の技術であるピンレスブリッジや、調整可能なネックアングルなどが用いられ、ギターのために加工されたジャンボスタイルのボディー、ローズウッドのバックとサイド、レッドウッドのトップが選定されました。ピックアップにはB-Bandが採用され、完成したギターは独特のトーンを持っています。

ディスコグラフィ

ソロアルバム
Justin King (1999) (out of print)
Opening (2000) (out of print)
Le Bleu (2001)
Humilitas Occidit Superbiam (2009)
LIVE IN JAPAN (2015)


Justin King and the Apologies
Pilot (2003) (EP)
Bright And Dirty Lights (2005) (EP)
Bright And Dirty Lights Taster Disc (2005)
C-Sides (2006) (EP)
Fall/Rise (2007) (EP)
Justin King and the Apologies (2007)

Justin King & the Raging Family
Re Bleu: The Raging Family Le Bleu Remix (2008)

King West Manring Vamos
* I-XII (2008)


ジャスティン・キングは、その卓越したギターテクニックと創造性、そして多様な活動を通じて、音楽シーンに独自の足跡を残し続けています。

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