ジャズランド・レコード

ジャズランド・レコード (Jazzland Records)

アメリカの歴史あるジャズ・レーベル

ジャズランド・レコードは、1960年にアメリカ合衆国で産声を上げた、ジャズ音楽専門のレコード・レーベルです。このレーベルの設立には、当時既にジャズ界で確固たる地位を築いていた名門レーベル、リバーサイド・レコードの共同経営者であったオリン・キープニュースとビル・グラウアーが携わりました。ジャズランドは、リバーサイド・レコードの子会社という位置づけでスタートし、リバーサイドの豊富なカタログを補完しつつ、新たなアーティストやプロジェクトを展開する場として期待されていました。設立当初から、質の高い録音と個性的なアーティストの作品をリリースし、ジャズファンからの注目を集めました。

短命に終わった活動期間

しかしながら、ジャズランド・レコードの単独での活動期間は、わずか3年間という非常に短いものとなりました。1963年、共同設立者でありリバーサイドの運営にも深く関わっていたビル・グラウアーが惜しくもこの世を去ります。グラウアーの死は、リバーサイド・レコード自体の経営に深刻な影響を与え、結果として親会社であるリバーサイドは活動を停止せざるを得なくなりました。ジャズランド・レコードもまた、その親会社のリバーサイドと運命を共にし、設立から間もなく運営を終えることとなりました。短い活動期間でありながら、この時期に録音された作品群は、当時のモダン・ジャズの様相を伝える貴重な音源として、今日でも多くのリスナーに聴かれています。

ファンタジー・レコードへの継承とオリジナル・ジャズ・クラシックスでの復刻

ジャズランド・レコードが活動を停止した後、その貴重な音楽カタログは、他のレコード会社へと引き継がれることになります。1972年、ジャズランド・レコードの音源資産は、カリフォルニアを拠点とするファンタジー・レコードに吸収される形で統合されました。ファンタジー・レコードは、リバーサイドやプレスティッジといった数々の重要なジャズ・レーベルのカタログを所有するようになり、ジャズランドもその一部門となったのです。

ジャズランドのカタログが再び脚光を浴びる大きなきっかけとなったのが、1983年にファンタジー・レコードによって開始された「オリジナル・ジャズ・クラシックス（OJC）」シリーズです。OJCシリーズは、ファンタジーが所有する膨大なジャズ音源の中から、歴史的に重要でありながらも廃盤となっていた名盤を選び出し、オリジナルの仕様に近い形で復刻する画期的なプロジェクトでした。ジャズランドの作品もOJCシリーズを通じて多数が復刻され、長らく入手困難だった音源が再び市場に出回ることとなりました。OJCシリーズを通じて、ジャズランドが短い期間に残した功績が改めて評価されることになったのです。

現在のジャズランド・レコード

ファンタジー・レコードは、2000年代に大きな変化を遂げます。2004年、ファンタジー・レコードは、アメリカの有力な独立系レコード会社であるコンコード・レコードによって買収されました。この買収により、ジャズランド・レコードを含むファンタジー傘下の歴史的なジャズ・カタログは、新たに誕生した音楽企業グループ、コンコード・ミュージック・グループの一部門となりました。現在、ジャズランド・レコードという名称は、コンコード・ミュージック・グループが管理するクラシック・ジャズ・カタログの一つとして位置づけられています。過去の音源はデジタル配信プラットフォームを通じて広く聴くことができ、また、時折、新たなフォーマットでの再発も行われています。ジャズランドが短い期間に作り上げた遺産は、コンコード・ミュージック・グループを通じて現在も生き続けています。

同名異義のノルウェーのレーベルについて

なお、「ジャズランド・レコード」という名称を持つレーベルは、アメリカのこの歴史的なレーベルとは別に、ノルウェーにも存在します。ノルウェーのジャズランド・レコードは、1997年にノルウェーの著名なジャズ・ピアニストであるブッゲ・ヴェッセルトフト氏によって設立されました。このレーベルは「ジャズの新しいコンセプト」を標榜し、フューチャー・ジャズと呼ばれるジャンルの作品を中心にリリースしています。こちらも現在はユニバーサル ミュージック グループの一部となっていますが、アメリカのジャズランド・レコードとは設立時期、活動内容、音楽的方向性において全く異なります。本項で主に取り上げているのは、アメリカの歴史的なジャズランド・レコードです。

もう一度検索