ジャックナイフ現象

自動車用語としてのジャックナイフ：二つの意味

自動車の話題における「ジャックナイフ」は、主に以下の2つの意味で使用されます。

1. トレーラーにおけるジャックナイフ現象
2. 二輪車の技としてのジャックナイフ

1. トレーラーにおけるジャックナイフ現象

現象の概要

ジャックナイフ現象とは、牽引自動車（セミトレーラー）が急ブレーキや急ハンドル操作を行った際に、トラクターヘッド（動力部）とトレーラー（荷台）が「く」の字状に折れ曲がる現象を指します。この状態が、折りたたみ式ナイフのジャックナイフに似ていることから、このように呼ばれるようになりました。

発生メカニズム

トラクターが急ハンドルを切った際、トラクターヘッドは曲がり始めますが、牽引される荷台部分は慣性の法則によって直進しようとします。この結果、トレーラーヘッドに対して荷台が横滑りする力が働き、折れ曲がりが発生します。また、路面の摩擦係数が低い場合、各車輪の制動力（タイヤのグリップ力）に差が出やすいため、直進時の制動でも荷台に押される形で折れ曲がることがあります。

対策

自動車メーカーや車体メーカーでは、このジャックナイフ現象への対策として、横滑り防止装置（ESC）や逆位相操舵機構などの技術を搭載するようになっています。これらの装置は、車両の挙動を安定させ、現象の発生を抑制する効果があります。

2. 二輪車の技としてのジャックナイフ

技の概要

二輪車におけるジャックナイフとは、ブレーキングや体重移動を駆使して後輪を浮かせる高度な操縦技術のことです。英語では一般的に「ストッピー（Stoppie）」と呼ばれています。フロントブレーキをかけることで、ウイリーとは逆に車体の後部をリフトさせます。

難易度と応用

小径車や重心が高くホイールベースの短い車体では、急制動時に意図せずジャックナイフが発生し、前転事故につながる危険性もあります。しかし、エクストリームバイクの熟練者は、ジャックナイフ状態を維持したままかなりの距離を走行したり、そのままターンするなど、高度な技を自在にこなします。

まとめ

「ジャックナイフ」という言葉は、自動車の分野において、トレーラーの危険な現象と二輪車の高度なテクニックという、全く異なる二つの意味を持っています。それぞれの意味を理解することで、自動車に関する知識がより深まるでしょう。

関連項目

慣性
運動の第1法則（慣性の法則）

外部リンク

* 事故事例から学ぶゼロ災害 - いすゞ自動車

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