ジャック・シクマ

ジャック・シクマ：先駆的なビッグマンの軌跡

ジャック・ウェイン・シクマ（Jack Wayne Sikma, 1955年11月14日生まれ）は、アメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手であり、指導者としても活躍しました。211cmの長身と104kgの体重を生かし、センターとしてNBAで傑出した実績を残しました。7回にわたるオールスター選出、1979年のシアトル・スーパーソニックス優勝メンバーとして名を刻み、2019年にはバスケットボール殿堂入りを果たしました。

生い立ちと大学時代

イリノイ州カンカキーで生まれたシクマは、地元のセント・アン高校で才能を開花させました。NCAA3部のイリノイ・ウェズリアン大学に進学後、4年間で平均21.2得点、13.1リバウンドを記録。通算2,272得点は大学記録として今も残っています。

NBAでの輝かしいキャリア

1977年、シクマはNBAドラフト全体8位でシアトル・スーパーソニックスに入団。1年目から平均10.7得点、8.3リバウンドを記録し、オールルーキー1stチームに選出されました。チームも初のファイナルに進出しましたが、ワシントン・ブレッツに惜しくも敗れました。

2年目の1978-79シーズン、シクマは平均15.6得点、12.4リバウンドを記録し、初のオールスターに選ばれました。このシーズンから7年連続で平均ダブルダブルとオールスター選出を達成。デニス・ジョンソン、ガス・ウィリアムズらと共にチームを牽引し、2年連続でファイナルに進出。ワシントン・ブレッツを4勝1敗で下し、チームを初優勝に導きました。シクマは平均15.8得点、14.8リバウンドの活躍で優勝に大きく貢献しました。

ソニックスでは、1982年に自己最高の平均19.6得点、12.7リバウンド（リーグ2位）を記録し、オールディフェンシブ2ndチームにも選出されました。1985年に指の手術を受けてからはパフォーマンスが低下し、チームも低迷。1986年、ミルウォーキー・バックスに移籍しました。ソニックスで記録した通算7,729リバウンドは、現在も球団記録として残っています。

バックスでは個人成績はやや低下したものの、センターとしての支配力は健在であり、在籍した5シーズン全てでチームをプレーオフに導きました。1988年にはリーグ1位のフリースロー成功率.922を記録し、51試合連続フリースローミスなしのNBA記録も樹立しました。キャリア終盤にはスリーポイントシュートの試投数を増やし、通算203本を成功させています。

1990-91シーズンを最後に現役を引退。NBAでの通算成績は、1,107試合出場、17,287得点、10,816リバウンド（平均15.6得点、9.8リバウンド）、フリースロー成功率.849でした。

引退後と殿堂入り

引退後は、ソニックス、ヒューストン・ロケッツ、ミネソタ・ティンバーウルブズでアシスタントコーチを務め、姚明やヨナス・ヴァランチューナスなど、後進ビッグマンの育成に尽力しました。

1992年、ソニックスはシクマの背番号『43』を永久欠番に指定。2019年には、バスケットボール殿堂入りを果たしました。

プレースタイルと影響

シクマは、当時のビッグマンとしては珍しいシュート力を持ち、現代の"ストレッチ5"の先駆けとして知られています。頭の後ろから放たれる独特のジャンパー"シクマ・ムーブ"は、ブロック困難な技術でした。また、平均ダブルダブルを8度記録するなど、センターとしての基本スキルも高く、プロ・アマ問わず多くの後進ビッグマンに影響を与えました。彼のプレースタイルは、姚明やケビン・ラブといった21世紀のスター選手にも受け継がれています。

主な記録

NBAオールスター選出：7回
NBA優勝：1回（1979年）
シアトル・スーパーソニックス永久欠番（背番号43）
バスケットボール殿堂入り（2019年）

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