ジャック・スレード

ジャック・スレード、本名ジョセフ・アルフレッド・スレードは、1831年1月22日にイリノイ州カーライルで生まれました。西部開拓時代を代表するガンマンとして、その名は今も語り継がれています。彼の人生は、軍人、駅馬車会社の幹部、そして無法者という、多面的な顔を持っています。


若い頃からその凶暴性が際立っていたスレードは、十代の頃に殺人を犯したという噂が絶えません。1847年にはアメリカ陸軍に入隊し、米墨戦争に従軍。除隊後、彼はヴァージニア・デールという女性と結婚し、駅馬車の御者として働き始めました。その後、持ち前の才能を発揮し、オーバーランド・ステージ・カンパニーの株を取得。ついには会社の部長にまで上り詰めました。この時期、若き日のバッファロー・ビルことウィリアム・コーディを雇い入れたことでも知られています。


仕事においては有能であったスレードですが、酒癖の悪さは彼の大きな欠点でした。酒を飲むと暴力的になり、殺人や強盗を平然と行うようになったと言われています。会社の利権を巡る争いでは、複数の殺人を犯しています。また、悪名高いヘンリー・プランマー率いる強盗団にも関わっていたとされ、生涯で20人以上を殺害したとも伝えられています。その非道な行状は、彼を伝説的なガンマンとして語り継がれる一方で、恐れられる存在でもありました。


スレードは、1864年3月10日、駅馬車強盗の罪でモンタナ州ヴァージニア・シティで絞首刑に処されました。その最期は、彼の生涯が多くの血で彩られていたことを象徴しています。しかし、彼には意外な一面もありました。恐妻家として知られ、妻のヴァージニアには頭が上がらなかったという逸話が残っています。このギャップが、彼の人物像をより複雑に、そして魅力的にしていると言えるでしょう。


スレードの生涯は、西部開拓時代の混沌とした状況を反映しています。彼の人物像は、善悪だけでは語れない、人間の複雑さを表していると言えるでしょう。彼の生きた時代やその行動は、今も多くの研究者や歴史愛好家の興味を引きつけています。その伝説は、今後も語り継がれていくことでしょう。


参考資料

L.L. Callaway, Two True Tales of the Wild West
Dan Rottenberg, "The Forgotten Gunfighter,” Civilization magazine, Mar.-Apr. 1996;
Dan Rottenberg, Death of a Gunfighter: The Quest for Jack Slade, the West's Most Elusive Legend. Yardley, PA: Westholme Publishing, 2008.
Roy O’Dell and Kenneth Jessen, An Ear in His Pocket.
* History to Go, Here Lies Joseph Slade

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