ジャパンエキスポ富山

ジャパンエキスポ富山は、1992年（平成4年）7月10日から9月27日までの約2か月半にわたり、富山県射水郡小杉町（現在の射水市）にある県民公園太閤山ランドを会場として開催された大規模な地方博覧会です。この博覧会は、地方博覧会シリーズ「JAPAN EXPO」の記念すべき第1回として位置づけられており、正式名称を「第1回ジャパンエキスポ富山'92」、略称を「エキスポとやま博」と称しました。海外からの訪問者に向けては、英文名称として「THE FIRST JAPAN EXPOSITION IN TOYAMA '92」、英文略称として「JET'92」が用いられました。

開催概要と成果

博覧会の会場となった太閤山ランドは、もともと「にっぽん新世紀博覧会」の開催を見据えて整備された広大な県民公園です。約79日間の開催期間中、総入場者数は236万5893人を記録し、多くの人々がこの博覧会を訪れました。特に、夏休み期間中にはナイター営業が実施され、夜間も会場の賑わいは続きました。この期間中、博覧会のテーマ曲である『生命の詩（いのちのうた）』をBGMに、連日花火ショーが夜空を彩り、来場者に夏の夜の特別な思い出を提供しました。

開催までの道のり

この博覧会の構想は、1988年（昭和63年）秋に富山県が大型イベントに関する調査を開始したことに始まります。翌1989年（平成元年）12月7日、ジャパンエキスポ推進委員会において、富山県での博覧会がジャパンエキスポの第1号として正式に認定される運びとなりました。1990年（平成2年）には、博覧会の核となる正式名称とテーマが2月28日に決定。続いて3月29日には、博覧会を運営する「富山ジャパンエキスポ協会」が設立され、同時に具体的な開催日程も定められました。協会の事務所は、同年4月1日に富山県民会館内に設置され、準備体制が本格的に始動しました。

会場地の選定においては、当初、太閤山ランドと富山新港西埋立地の二か所が候補に挙げられていました。しかし、会場が複数に分かれることによる博覧会イメージの分散や事業費の大幅な増加が懸念されたため、1990年 2月24日には会場を太閤山ランド一か所に絞ることが決定されました。ただし、博覧会の開催にあたっては、県内の主要施設や観光地、例えば海王丸や立山博物館などとも緊密なネットワークを構築し、県全体での盛り上がりを目指しました。開催に向けた準備が進む中、1991年（平成3年）4月23日に総合起工式が行われ、建設工事が本格化しました。

主な施設とアトラクション

会場内には、来場者を楽しませるための様々な施設やアトラクションが設けられました。主なものを紹介します。

いきいき広場: 遊園地のように、ジェットコースターやメリーゴーランドといったアトラクションが設置され、多くの人々、特に家族連れで賑わいました。
ふるさとパレス: 「JET'92」の中枢を担うパビリオンとして機能しました。富山県内の企業が参加し、最新の技術や特色ある取り組みが展示・公開されました。
JETタワー: 現在は「展望塔」として知られています。標高60m地点に高さ32mの構造物が建てられ、展望階が標高92mとなるように設計されました。この「92」という数字は、開催年の1992年にちなんで名付けられたものです。展望階からは会場全体や周辺の景色を一望できたほか、霧と虹を用いた幻想的なパフォーマンスも楽しめました。現在も展望塔として利用されていますが、展望部分の音声案内では当時の名称である「JETタワー」が使われています。

そのほかにも、特徴的なアトラクションが展開されました。

富山ワンダーランド: 富山県の豊かな自然や文化といった魅力を、ライド形式で体験できるアトラクションでした。
* 夢・サイエンスロボットピア: 作業用ロボットなどが展示され、その能力を示すデモンストレーションが行われ、科学技術への関心を高めました。

テーマとメッセージ

博覧会のテーマは「人間 -その内と外富山から世界へ・未来へ」と掲げられました。テーマ展開のキーワードとしては、Life（生）、Love（愛）、Laugh（笑い）、Light（光）という、頭文字がすべて「L」となる4つの言葉が設定されました。そして、多くの人々に親しみを持ってもらうためのキャッチフレーズとして「人ってこんなにおもしろい!」が用いられました。

テーマ曲

博覧会を象徴するテーマ曲は『生命の詩（いのちのうた）』です。作詞は松本隆氏、作曲は服部克久氏、編曲は服部隆之氏、そして歌唱は荻野目洋子氏が担当しました。この楽曲は、博覧会開催直前の1992年7月1日にリリースされた荻野目洋子氏のシングルCD『ロマンティックに愛して』のカップリング曲として収録されています。楽曲プロデュースは月光恵亮氏が手掛けました。

ジャパンエキスポ富山は、北陸地方における一大イベントとして、多くの人々に夢と感動を与え、その後の地域振興にも寄与した博覧会として記憶されています。

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