ジャベリン (地対空ミサイル)

ジャベリン：イギリス開発の携帯式防空ミサイル

ジャベリン（Javelin）は、イギリスが開発した近距離防空ミサイルであり、「投槍」を意味する英語に由来します。先代のブローパイプ携行地対空ミサイルの改良型として開発された、イギリス第2世代の携帯式防空ミサイルシステム（MANPADS）です。

開発経緯と特徴

1979年より開発が開始されたジャベリンは、第1世代のブローパイプの課題を克服するために生まれました。ブローパイプは、オペレーターがジョイスティックで手動操縦するMCLOS誘導方式を採用しており、高速で機動する攻撃機への対応が困難でした。そこで、ジャベリンでは、より自動化された無線式半自動指令照準線一致誘導方式（SACLOS）を採用し、誘導の精度と効率を高めています。

弾頭も大型化されていますが、ミサイルの空力設計はブローパイプと共通する部分が多く、翼の構造も同様です。ミサイルの翼は折畳式ではなく、発射筒収納時には弾体前半部に配置され、発射時に結合される方式のため、発射チューブの前半分が太くなっているのが特徴です。

運用

ジャベリンは、基本的には兵士が個人で携行し、肩撃ち方式で発射する地対空ミサイルとして運用されます。また、専用の小型ランチャーや3連装の発射装置（LML, Lightweight Multiple Launcher）も用意されており、状況に応じて柔軟な運用が可能です。

SACLOS方式の採用により、フレアなどの誘導妨害には強い一方、雲や霧の影響を受けやすいという弱点があります。敵機の捜索は、主に目視およびテレビカメラによって行われます。

実戦と退役

イギリス陸軍では1984年より就役を開始し、アフガニスタン紛争でもムジャーヒディーンに供与され、使用されたと言われています。しかし、無線SACLOS方式でも航空機の追尾が困難であったため、レーザーSACLOS方式を採用したスターバースト・ミサイルに更新され、1993年に退役しました。

ミサイルの単体価格は7万8000ドルです。

運用国

ボツワナ
カナダ
オマーン - 2023年時点で、オマーン陸軍が保有
イギリス
ペルー
韓国

関連項目

地対空ミサイル
ブローパイプ
* スターバースト (ミサイル)

もう一度検索