ジャリア炭田

ジャリア炭田：インドの巨大炭田と終わらない火災

ジャリア炭田は、インド東部のジャールカンド州ジャリアに位置する、広大な炭田地帯です。その面積は約280平方キロメートルに及び、ダーモーダル川の渓谷に広がっています。この炭田は、インド最大の石炭埋蔵量を誇り、推定194億トンもの原料炭が眠るとされています。これは、インドの経済を支える重要な資源であるとともに、地域経済にも大きく貢献しています。

インド経済を支える炭田

ジャリア炭田では、コークス製造に適した瀝青炭が産出されます。ここで採掘される石炭は、主に高炉で使用される高品質なコークス炭であり、インドの鉄鋼業にとって不可欠な資源です。炭田は、23の大規模な地下鉱山と9つの露天掘り炭鉱から構成されており、日々大量の石炭が採掘されています。

100年以上続く炭層火災

しかし、ジャリア炭田は、1世紀近くにわたって地下で燃え続ける炭層火災という深刻な問題を抱えています。最初の火災は1916年に確認され、その後も消えることなく燃え続けています。2007年の推定では、これまでに3,700万トンもの石炭が火災によって失われたとされています。

この火災は、地域社会に深刻な影響を与えています。火災による地盤沈下は、家屋やインフラを破壊し、住民の生活を脅かしています。また、火災によって発生する有害な煙は、大気汚染を引き起こし、呼吸器疾患や皮膚病などの健康被害をもたらしています。

2017年には、火災によってできた地下の空洞に地盤が崩落し、死傷者が出る事故も発生しました。政府は住民の移転を進めていますが、その進捗は遅く、多くの人々が危険な状況下での生活を余儀なくされています。

炭田開発の歴史

ジャリア炭田での採掘は1894年に始まり、1925年に大きく強化されました。当初はイギリスの企業が独占していましたが、1890年代にはカッチ地方のグジャラートの鉄道業者たちが参入し、石炭採掘を開始しました。セス・コラ・ラムジ・チャウダは、ヨーロッパ人の独占を破った最初のインド人として知られています。

環境問題と人々の生活

ジャリア炭田の火災問題は、単なる環境問題にとどまらず、地域住民の生活、健康、そして未来を脅かす深刻な人道的問題です。政府や関係機関は、火災の抑制と住民の安全確保に向けて、より積極的な対策を講じる必要があります。また、炭田開発と環境保全の両立を目指し、持続可能な資源利用のあり方を模索していくことが重要です。

ジャリア炭田の現状は、資源開発と環境保護のバランスの難しさ、そして人々の生活を守ることの重要性を改めて私たちに教えてくれます。

もう一度検索