ジャワクマタカ

ジャワクマタカ：インドネシアの国鳥、その生態と現状

ジャワクマタカ( Nisaetus bartelsi) は、インドネシアのジャワ島にのみ生息するタカ科の鳥類です。全長56～61センチメートルに達し、濃褐色の背と翼、淡褐色の下面が特徴です。後頭部には黒褐色の冠羽が大きく発達しており、顔には黒い顎線が目立ちます。胸から腹部にかけては濃褐色の縦縞、脇腹や下尾筒、足には褐色の横縞が入ります。虹彩は黄色、くちは黒色です。幼鳥は全身が橙色で、冠羽はあまり発達せず、虹彩は灰褐色をしています。

かつては旧クマタカ属(Spixaetus)に分類されていましたが、2007年の遺伝子解析の結果、クマタカ属(Nisaetus)に再分類されました。この属には、東アジアから東南アジアに分布するクマタカ類が含まれています。

ジャワクマタカは、標高200～1200メートルの低山地にある熱帯雨林に生息しています。その狩りの対象は多岐に渡り、クマネズミなどの齧歯類、コウモリ、ツパイ、サル（カニクイザルやジャワルトンなど）、スカンクアナグマ、ジャワマメジカ、マレーヒヨケザルといった哺乳類、さらにジャワミヤマテッケイなどの鳥類、ヘビやトカゲなどの爬虫類も捕食します。

繁殖期は周年とされていますが、特に1～7月に活発になります。常緑樹の大木に巣を作り、1回に1個の卵を産みます。抱卵期間は約47～48日、孵化してから巣立つまでには約60～70日かかるとされています。

ジャワクマタカはインド神話の鳥、ガルダの姿に似ていることから、1993年にインドネシアの国鳥に指定されました。しかし、近年の森林開発による生息地の破壊や、ペットや剥製目的の乱獲によって個体数は減少傾向にあります。

この深刻な状況を受け、インドネシア政府や国際的なNGO、日本の研究者らによる保護活動や合同調査が精力的に行われています。1979年にはワシントン条約附属書IIにも掲載されており、国際的な保護の枠組みの中で保全対策が進められています。

ジャワクマタカの保護は、インドネシアの豊かな生物多様性を守る上で極めて重要な課題です。生息環境の保全と乱獲の抑制が、この美しい猛禽類の未来を左右します。今後の研究と保護活動の更なる発展が期待されます。

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