ジャンニ・ブーニョ

ジャンニ・ブーニョ：ロードレース界のオールラウンダー

ジャンニ・ブーニョ（Gianni Bugno）は、1964年スイス生まれのイタリア人元プロロードレース選手です。彼はロードレース史上4人目となる世界選手権プロロードレース連覇を達成し、2度のイタリア国内選手権優勝、そしてジロ・デ・イタリア総合優勝など、数々の輝かしい成績を収めました。

卓越したオールラウンド能力

ブーニョは、タイムトライアル、山岳、スプリントの全てをハイレベルでこなすオールラウンダーとして知られていました。ツール・ド・フランスでは、最高峰の山岳ステージであるラルプ・デュエズで2度区間優勝、シャンゼリゼに次ぐスプリントステージであるボルドーでも区間優勝を飾っています。また、最強スプリンターとして名高いヨハン・ムセウを、ムセウが得意とするロンド・ファン・フラーンデレンのゴールスプリントで打ち負かしたこともあります。1990年のミラノ〜サンレモでは、独走で優勝し、その時のコースレコードは20年以上経った今も破られていません。

栄光と苦悩

1990年代初頭は、まさにブーニョの黄金時代でした。ジロ・デ・イタリアでは、第1ステージから最終ステージまでマリアローザを守り抜き、総合優勝を果たしました。また、ミゲル・インドゥラインとはステージレースでライバルとして鎬を削り合いました。しかし、1993年頃からグランツールの総合優勝を狙うエース級選手としては徐々に衰えが見え始め、多くのファンを失望させました。その後はアシストとして区間優勝を狙うスタイルへと落ち着いていきました。

ブーニョは、精神的に弱い部分があることを指摘されていました。それに加え、家庭不和などの問題も抱え、現役中に離婚したことがマスコミから非難されるなど、苦難の時期を過ごしました。1994年には、コッパ・アゴスティーニョのレース後、カフェイン陽性反応が出たため、3ヶ月の出場停止処分を受けています。

引退後

1998年に現役を引退したブーニョは、その後レスキューヘリのパイロットとして新たな道を歩み始めました。1999年には、アンフェタミンの購入及び保持により、6ヶ月間の出場停止処分を受けています。2007年のロンバルディア一周では、カメラヘリを操縦しました。

エピソード

ブーニョは、ゴールスプリントでも専門のスプリンターと互角の強さを見せ、「静かなるスプリント」と呼ばれました。批評家からは精神面の弱さを指摘されることもありましたが、その謙虚な人柄は多くのファンを惹きつけました。1990年のジロ・デ・イタリアで総合優勝した際には、賞金をチームスタッフに提供しました。また、暑い日でもジャージのチャックを閉めたまま走るなど、レースに対する真摯な姿勢は他の選手から尊敬を集めました。

1993年には、シマノ・スズカロードレースの10周年記念大会に参戦。1996年には、ジャパンカップサイクルロードレースに出場するために来日し、日本の缶コーヒーの美味しさを絶賛しました。現役晩年には、グランツール勝利者達がワンデイレースを軽視する傾向を批判していました。

主な実績

1990年：ジロ・デ・イタリア総合優勝
1990年：ミラノ〜サンレモ優勝
1991年：世界選手権プロロードレース優勝
1992年：世界選手権プロロードレース優勝
* 1994年：ロンド・ファン・フラーンデレン優勝

ジャンニ・ブーニョは、その才能と実績、そして人間性で、ロードレース史に名を刻む偉大な選手の一人です。

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