ジャンヌ・ダルク (装甲巡洋艦)

ジャンヌ・ダルク（Armored Croiseur Jeanne d'Arc）

ジャンヌ・ダルクは、フランス海軍に属する装甲巡洋艦であり、その名を冠した艦船は独自の存在です。1895年度の海軍計画に則り、通商破壊作戦に適した大型艦として設計されました。設計の主導を担ったのはルイ＝エミール・ベルタンで、艦名はフランスの国民的英雄である「オルレアンの乙女」ジャンヌ・ダルクに由来しています。

艦形と設計

ジャンヌ・ダルクは、従来のフランス巡洋艦に多く見られたタンブル・ホーム式の船体を採らず、よりシンプルで没個性的なデザインが特徴です。艦の形状は高い乾舷を保持し、長船首楼型の外観を持つため、外洋での航行に適しています。

艦首部分には、前方を向いた19.4cmの単装主砲塔が一基配置されています。艦橋は箱型の構造で、その上部にはミリタリー・マストが建ちます。また、艦橋の後方には、ボイラー室を前後に分けて配置した6本の煙突がそびえ立っています。これによって、煙突の間には広いスペースが確保され、艦載艇のための揚収クレーンが片舷に4基ずつ計8基設置されています。

艦の後方には、19.4cmの主砲塔が後向きに一基配置されており、副砲としては、等間隔に配置された13.8cmの単装速射砲が片舷に7基ずつ、計14基搭載されています。

艦歴

ジャンヌ・ダルクの艦歴は、1896年10月にトゥーロン海軍工廠での起工から始まり、1899年6月に進水し、1902年に艦としての業務を開始します。この艦船は、1903年にエミール・ルーベ大統領を載せてアルジェリアを訪問した際の姿が特に印象的です。

1912年には練習艦へと役割を変え、士官候補生の訓練を担当しました。それまでこの任務を担っていた戦列艦に代わり、教育面でも貢献できる艦となりました。

第一次世界大戦中、ジャンヌ・ダルクは大西洋戦隊の一員として始まり、その後、地中海戦隊に転籍します。船団護衛やダーダネルス海峡、スエズ運河、およびシリアやアナトリア沖合のパトロールに従事し、戦争の遂行に寄与しました。

大戦が終結すると、ジャンヌ・ダルクは再び練習艦任務に戻り、1919年には9回の巡航を実施しました。しかし、1928年に退役し、1933年に同名の練習巡洋艦にその名を譲る形で除籍され、最終的には1934年に解体されました。

関連項目

他にも、ジャンヌ・ダルクに関連する艦艇として、フランス海軍艦艇一覧や、ジャンヌ・ダルク（練習巡洋艦）、ジャンヌ・ダルク（ヘリ空母）がおります。また、艦船に関する参考書として、「世界の艦船増刊第50集　フランス巡洋艦史」（海人社）が挙げられます。この艦は、海軍史に名を刻む艦船の一つとして、その記録を現在に伝えています。

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