ジャンヌ・ド・コンスタンティノープル

ジャンヌ・ド・コンスタンティノープルの生涯

ジャンヌ・ド・コンスタンティノープル（1194/1200年 - 1244年12月5日）は、13世紀初頭のフランドルとエノーを治めた女伯です。彼女は、フランドル伯およびエノー伯ボードゥアンとマリー・ド・シャンパーニュの長女として生まれました。ジャンヌの正確な出生日は不明ですが、妹マルグリットと同様に、ヴァランシエンヌのサン・ジャン教会で洗礼を受けたことが記録されています。

幼年時代と家族の喪失

1202年、ジャンヌの父ボードゥアンは第4回十字軍に参加し、1204年にはラテン帝国の皇帝となりました。母マリーは聖地巡礼中に急逝し、ボードゥアンも1205年に戦場で消息を絶ちました。これにより、ジャンヌと妹マルグリットは孤児となり、父方の叔父であるナミュール伯フィリップ1世によって教育されました。その後、フランス王フィリップ尊厳王に教育が委ねられ、パリで育てられました。

結婚と領土の危機

1211年、ジャンヌはポルトガル王子フェルナンドと結婚し、フランドル伯フェランとなりました。しかし、結婚直後、新婚夫婦はフランス王子ルイ（後のルイ8世）に捕らえられ、領土の一部を奪われました。解放後、フェランはイングランド王ジョンやローマ皇帝オットー4世と反フランス連合を結成しましたが、1214年のブーヴィーヌの戦いでフランス軍に敗北し、捕虜となります。これにより、ジャンヌは単独で領地を統治することになりました。

単独統治と内政

フェランの捕囚中、ジャンヌはリールの城壁を再建するなど、領土の防衛に努めました。また、ローマ教皇の力を借りて結婚を解消しようとしましたが、失敗に終わりました。1221年にはブルターニュ摂政ピエール・モークレールとの再婚を試みましたが、フランス王に反対されました。彼女は、フランドル諸都市に租税免除特権を与え、経済発展を促進する政策を行いました。

マルグリットとの争い

妹マルグリットは、教会法に違反した結婚をし、ジャンヌとの間に争いが生じました。マルグリットはブシャールとの結婚を教皇によって無効とされましたが、それを無視しました。マルグリットとブシャールの間には2人の息子が生まれましたが、ブシャールは逮捕され、後に離婚しました。その後、マルグリットはギヨーム・ド・ダンピエールと再婚しました。

偽ボードゥアン事件

1225年、フランドル伯ボードゥアンを名乗る人物が現れ、ジャンヌから領土を取り戻そうとしました。この人物は偽者であることが判明しましたが、多くの支持者を集め、ジャンヌはモンスに逃れることを余儀なくされました。フランス王ルイ8世の介入により、偽ボードゥアンは捕らえられ、処刑されました。この事件の後、ジャンヌは反乱を起こした都市に重い税を課し、経済を立て直しました。

フェランの解放と再婚

1226年、ジャンヌはフランス王と条約を結び、夫フェランの身代金を支払うことで解放に成功しました。しかし、フェランは釈放後間もなく病死しました。1237年、ジャンヌはサヴォイア伯トンマーゾ1世の子トマ・ド・サヴォワと再婚しましたが、フランス王に忠誠を誓うことを余儀なくされました。

ジャンヌの死と遺産

ジャンヌは1244年12月5日に死去し、伯位は妹マルグリットが継承しました。彼女の遺体はマルケット修道院の敷地内で発見されましたが、墓の中には遺体はありませんでした。

ジャンヌの功績

経済政策

ジャンヌは、フランドル都市の発展を促進するため、都市に法律と税務権限を付与しました。彼女は、ダンケルク、ヘント、リール、イープルなどの都市に特権を与え、羊毛産業に従事する労働者の移住を奨励しました。また、河川での水上貿易を促進するため、水門を建設し、航行ネットワークを拡張しました。

信仰と慈善活動

ジャンヌは、シトー会派の女子修道院を創設し、托鉢修道会の活動を支援しました。彼女は、ヴァランシエンヌのフランシスコ会コミュニティーに修道院を寄進し、ベギヌ会の住宅郡（クール・ド・ベギヌ）を建設しました。また、ヴィクトリーヌ会の修道院を奨励し、病院の支援も行いました。彼女は、リールのサン・ソヴール施療所、サン・ニコラ施療所などを支援し、オスピス・コンテスを創設しました。

中世文学への影響

ジャンヌの図書館には、詩篇やペルスヴァルまたは聖杯の物語の写本が含まれていました。また、騎士道物語の第3章は、ジャンヌに捧げられました。彼女の側近の聖職者が書いたオランダ語の騎士道物語『Van den vos Reynaerde』は、初期のオランダ語文学作品の1つです。彼女は、文学後援者として、中世文学の発展に貢献しました。

結論

ジャンヌ・ド・コンスタンティノープルは、困難な時代にフランドルとエノーを統治した女性です。彼女は、経済発展を促進し、宗教的な女性団体の成長を支援し、中世文学にも影響を与えました。彼女の生涯は、当時の社会における女性のリーダーシップの象徴として、現在も語り継がれています。

もう一度検索