ジャン・バール (戦艦・2代)

ジャン・バール (Bâtiment de ligne Jean Bart)

ジャン・バールは、フランス海軍で運用されていた戦艦で、リシュリュー級戦艦の2番艦として知られています。その名は、フランスの著名な軍人であるジャン・バールに由来しています。この艦は、フランス海軍の戦艦の艦名としては2代目であり、最後に竣工した戦艦でもあります。

建造の背景

1930年代中盤、ヨーロッパでは建艦競争が盛り上がり、特にイタリアやナチス・ドイツの動きが影響を及ぼしました。これに対抗する形で、フランス海軍も新たな艦船の建造に着手し、その流れの中でジャン・バールが誕生しました。ダンケルク級戦艦の二隻に続いて、リシュリュー級の建造が始まりました。

1936年12月12日、ジャン・バールの建造がサン・ナゼール港のペノエ造船所で開始されました。しかし、第二次世界大戦の勃発により、建造が急がれました。1940年3月6日に進水したものの、艦体の試験等は未実施のままでした。

戦争と運命

ジャン・バールは、艦船としての試験がほぼ完了しないまま1940年にフランス海軍に正式に就役しましたが、艦の性能を十分に引き出す準備が整っていなかったため、様々な問題を抱えていました。1940年6月にはナチス・ドイツによる鹵獲を避けるため、カサブランカに向けて出港します。

その航行中、フランスはドイツとの停戦を決定し、ジャン・バールはヴィシー・フランス海軍の一員となってしまいました。この段階から、艦はドイツと協力して連合国と戦う立場に置かれることとなりました。

カサブランカに到着後も艦は艤装工事を続け、主砲塔の測距儀などの装備を整える作業が行われましたが、物資の不足により電力系統が未整備のままでした。

カサブランカ沖海戦

1942年11月8日にはトーチ作戦において、アメリカ海軍との交戦に巻き込まれました。ジャン・バールは空母レンジャーと戦艦マサチューセッツの攻撃を受け、その結果艦体に損傷を受けつつも必死に反撃しました。しかし、アメリカの爆撃により最終的に着底という苦しい状況に追い込まれました。

その後、1945年8月に浮揚され、シェルブールへ回航された後、1949年に再び工事が開始されました。この際、艦は近代的な設備を整え、主砲の大幅なアップグレードが行われました。

復活とその後

1950年に地中海艦隊に配備されたジャン・バールは、1956年の第二次中東戦争に参加し、エジプトへの作戦行動を行いました。その後、1957年からは予備艦として活動していましたが、1961年に除籍され、1970年には解体される運命を辿りました。

ジャン・バールの艦史は、20世紀の戦艦としての戦いの日々や国際情勢の波に影響を受けて形作られていきました。艦名が持つ意味や、艦自体の存在がどのように歴史に寄与したかは、軍艦ファンや歴史愛好家にとって興味深いテーマとなっています。特に、艦の設計や戦歴は、艦船技術の発展を示す良い例となっています。

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