ジャン＝シャルル＝レオナール・シモンド・ド・シスモンディ

ジャン＝シャルル＝レオナール・シモンド・ド・シスモンディ

ジャン＝シャルル＝レオナール・シモンド・ド・シスモンディ（1773年5月9日 - 1842年6月25日）は、フランスの経済学者であり、彼の名前は経済思想の歴史に深く刻まれています。彼はフランス最後の古典派経済学者として認識されており、国家の積極的な介入を支持したため、「経済的ロマン主義の祖」と称されています。また、ドイツの思想家であるカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは彼を『共産党宣言』において「小市民的社会主義の首領」として言及しています。

シスモンディはスイスのジュネーヴで生まれました。学問の初期にはリベラルな立場をとり、『商業の富について』（1803年）を著し、自由主義経済学の代表的な文献であるアダム・スミスの『国富論』を紹介するなど、自由主義を支持していました。しかし、1810年代に入ると、イギリスでの経済恐慌を経験し、自由主義に対して疑念を抱くようになりました。この転機を境に、彼は古典派経済学への批判的立場を採り、1819年には『経済学新原理』を発表します。この書は、彼が自由主義経済学と対立する古典派経済学批判の立場を表明した重要な作品です。

シスモンディの学説の中で特に注目されるのは、彼の恐慌論や過少消費説です。この理論は、経済が周期的に恐慌を経験する理由を探求し、消費が経済成長にどのように影響を与えるかに焦点を当てています。彼の見解は、当時の多くの経済学者からの注目を集め、現代の経済学の理解にも一役買っています。また、同じ時代の経済学者トマス・ロバート・マルサスに比べると、彼の業績はあまり評価されていない場合が多いですが、価値論や恐慌論の研究においてはカール・マルクスの先駆者としての立場があると近年評価されています。

また、マクロ経済の均衡論においてもシスモンディは重要な先駆者とされており、ジョン・メイナード・ケインズにも多大な影響を与えたとされています。彼の学説は、経済学が社会全体に及ぼす影響を理解する上で欠かせない視点を提供しており、その功績は現代においても多くの研究者によって引き継がれています。

主な著書

• - De la richesse commerciale (1803)
• - Nouveaux principes d'economie politique, ou de la Richesse dans ses rapports avec la population (1819)

（日本語訳: 菅間正朔訳『経済学新原理』全2冊、日本評論社、1949年-1950年）

シスモンディの思想は、経済学の進展とその社会への影響を考える上で、非常に重要な位置を占めています。彼の理論は、経済システムの理解を深め、現在の経済政策にも影響を与え続けています。

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