ジャン＝バチスト・メンディ

ジャン＝バチスト・メンディ

フランスが生んだ技巧派プロボクサー、ジャン＝バチスト・メンディ（Jean-Baptiste Mendy）は、1963年3月16日にこの世に生を受けた。約20年に及ぶプロキャリアの中で、彼は世界ボクシング評議会（WBC）と世界ボクシング協会（WBA）という二つの主要団体で世界ライト級の頂点を極めた稀有な存在である。2020年8月31日に永眠するまでの間、合計67戦のリングに上がり、55勝（31KO）8敗3分1無効試合という戦績を記録した。

1983年にプロボクサーとしての歩みを開始したメンディは、デビュー戦を判定勝利で飾り、幸先の良いスタートを切った。国内や地域のタイトルを獲得しながら、着実に世界の舞台へと駒を進めていった。

キャリアの中で初めての世界挑戦は1994年3月。この時、ジャン＝バチスト・メンディはWBC世界ライト級王者ミゲル・アンヘル・ゴンサレスに挑んだが、強豪王者を相手にTKO負けを喫し、苦杯をなめた。しかし、この敗北を乗り越え、メンディは再び世界ランキング上位に返り咲く。

そして1996年4月、空位となっていたWBC世界ライト級王座を懸けてラマー・マーフィーと対戦する機会を得た。この重要な一戦をメンディは判定で制し、キャリア初の、そして念願だった世界王座を獲得した。フランスに新たな世界王者が誕生した瞬間である。

世界王者として迎えた1997年3月の初防衛戦の相手はスティーブ・ジョンストンだった。緊迫した攻防の末、メンディは判定で敗れ、わずか1度の防衛を果たせずにWBC世界ライト級王座を失った。

王座陥落後、メンディは階級をスーパーライト級に上げ、新たな挑戦を決意する。1998年2月にはWBA世界スーパーライト級王者カリ・ライルーに挑戦したが、ここでも判定負けを喫し、惜しくも二階級制覇はならなかった。

スーパーライト級での挑戦が実らなかったメンディは、再び主戦場であるライト級に戻ることを決断する。そして1998年5月、WBA世界ライト級王者のオルズベック・ナザロフに挑戦する機会を得た。ナザロフは当時、無敗の強豪王者として知られていたが、メンディは巧みな試合運びでこれを攻略。見事な判定勝利を収め、WBCに続く二つ目の主要団体であるWBAの世界ライト級王座を獲得した。これにより、メンディは同一階級で二つの異なる主要団体の世界王座に輝いた数少ないボクサーの一人となり、その実力を改めて証明した。

ジャン＝バチスト・メンディのキャリアは、強豪とのタフな戦いと、二度にわたる世界王座獲得という輝かしい成功によって彩られている。特にWBCとWBAのライト級タイトルを両方獲得したことは、彼の技術と実力が本物であったことを示している。合計67戦という豊富な経験と、31KOというノックアウト率が示すように、彼は技巧だけでなくフィニッシュ能力も持ち合わせたオールラウンダーだったと言えるだろう。彼の残した戦績と功績は、フランスボクシング史において重要な一ページを飾るものである。

リング上で多くのドラマを生み出したジャン＝バチスト・メンディは、2020年にその生涯を閉じた。彼の記憶は、世界タイトルマッチでの熱戦とともに、ボクシングファンの心に刻まれ続けている。

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