ジャン4世 (ブラバント公)

ジャン4世は、1403年6月11日に生まれ、1427年4月17日に23歳という若さで亡くなったブラバント公です。彼の生涯は、当時のヨーロッパの政治情勢と深く結びついており、特にブラバント公国とブルゴーニュ公国の関係が重要な役割を果たしました。

父であるアントワーヌ公がアジャンクールの戦いで戦死したため、ジャン4世は12歳という若さで公位を継承しました。若年での即位は、彼の治世に多くの課題をもたらしました。1417年、彼は政略結婚の一環として、従姉にあたるエノー女伯ジャクリーヌと婚約しました。この結婚は、ブルゴーニュ公ジャン1世（無怖公）の画策によるもので、血縁関係にあったため、教皇マルティヌス5世の承認が必要でした。

1418年に結婚が成立しましたが、この結婚は政治的な意味合いが強く、個人的な感情が伴うものではありませんでした。ジャクリーヌの後見を主張するバイエルン＝シュトラウビング公ヨハン3世との間で、領土を巡る争いが勃発しました。1419年には、ブルゴーニュ公フィリップ3世（善良公）の仲介により和睦が成立しましたが、その後もヨハン3世との対立は続きました。これらの争いは、ジャン4世の立場を弱め、ジャクリーヌとの関係も悪化させました。性格の不一致もあり、1422年には、対立教皇ベネディクトゥス13世の介入によって婚姻は無効とされました。

さらに、ジャクリーヌがイングランド王ヘンリー5世の弟であるグロスター公ハンフリーと再婚したことで、事態は一層複雑化しました。グロスター公はネーデルラントへ侵攻を開始し、ジャン4世はこれに対処する能力がありませんでした。この危機的な状況に対し、善良公がヨハン3世と協力してグロスター公との戦争を始め、戦況は善良公に有利に進みました。

このような状況の中、ジャン4世は1427年に23歳で死去しました。彼には子供がいなかったため、弟のフィリップ・ド・サン＝ポルが公位を継承しました。しかし、フィリップもまた1430年に若くして亡くなったため、ブラバント公国は善良公が相続することになりました。その後、エノーも善良公の手に渡り、ジャン4世の時代に混乱した地域の再編が進みました。

ジャン4世の生涯は、若年での公位継承、政略結婚、領土紛争、そして後継者不在という、複雑な要素が絡み合ったものでした。彼の治世は、ブラバント公国がブルゴーニュ公国の影響下に置かれる過程を象徴しており、当時のヨーロッパの政治情勢を理解する上で重要な事例となっています。

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