ジャーンヴィ・カプール

ジャーンヴィ・カプールとは

ジャーンヴィ・カプール（Janhvi Kapoor）は、1997年3月6日にインドで生まれた、ヒンディー語映画を中心に活動する女優です。彼女はインド映画界における最も影響力のある一家の一つに名を連ねています。父親は著名な映画プロデューサーであるボニー・カプール、母親は惜しまれつつこの世を去った伝説的な女優、シュリデヴィです。また、彼女には妹のクシがいるほか、父親の別の結婚相手との間に生まれた異母兄妹として、俳優のアルジュン・カプールとアンシュラ・カプールがいます。叔父には俳優のアニル・カプールとサンジャイ・カプールがおり、文字通り映画一家の中で育ちました。

ムンバイのダーラブハイ・アンバニ・インターナショナル・スクールで学んだ後、女優としてのキャリアを本格的に始める前に、アメリカ・カリフォルニア州にある名門リー・ストラスバーグ演劇映画学校で演技の専門的な訓練を受けました。この経験が、その後の彼女の演技の基盤となります。

俳優としての歩み

ジャーンヴィ・カプールは、2018年にシャシャーンク・カイターン監督のロマンス映画『ダダク Dhadak』で俳優デビューを飾りました。この作品では、当時新鋭だったイシャーン・カッターと共演しています。『ダダク』は、2016年に大ヒットしたマラーティー語映画『Sairat』をヒンディー語でリメイクしたもので、ジャーンヴィは保守的な家庭に育った上流階級の若い女性を演じました。彼女の役柄は、カッター演じる下層階級の青年と恋に落ち、社会的な障壁を乗り越えて駆け落ちするものの、やがて悲劇的な運命に翻弄されていくというものでした。

作品自体は、原作が扱ったカースト問題への深い言及が薄められているといった批判的な意見も多く聞かれましたが、全世界での興行収入が11億ルピーを超える商業的な成功を収めました。批評家の評価は分かれましたが、ジャーンヴィ自身の演技に対しては、将来性を感じさせる声も上がりました。例えば、CNN-News18のラジーヴ・マサンド氏は、映画全体には否定的でありながらも、彼女のパフォーマンスには「一瞬で人の心をひきつけるような儚さ」や「スクリーン上で目が離せなくなるような魂のこもった特質」を感じたと言及しました。一方で、『ファーストポスト』の評論家は、彼女の演技を「個性に欠け、色のないもの」と評するなど、賛否両論でした。それでも、このデビュー作での演技が評価され、ジャーンヴィはジー・シネ・アワードで最優秀新人女優賞を受賞し、その年のうちに化粧品ブランド「ナイカ Nykaa」のブランド・アンバサダーにも起用されるなど、早くから注目を集めました。

デビュー後も、ジャーンヴィは様々な役柄に挑戦し続けています。2020年には、Netflixで配信されたホラー・アンソロジー映画『恐怖のアンソロジー』の一編、ゾーヤー・アクタル監督パートに出演しました。このパート自体には否定的な見方もあった中で、『インディアン・エクスプレス』紙の批評家は、彼女の演技を「唯一本当に驚かされた点」であり、「しっかりとした本物の演技」であると評価しました。

同年には、女性戦闘機パイロットという革新的なキャリアを切り開いたグンジャン・サクセナの半生を描いた伝記映画『グンジャン・サクセナ -夢にはばたいて- Gunjan Saxena』で主演を務めました。当初は劇場公開が予定されていましたが、COVID-19のパンデミックの影響を受けて劇場公開は見送られ、Netflixでのストリーミング配信となりました。この役に説得力を持たせるため、ジャーンヴィは役作りに真摯に取り組みました。実際にグンジャン・サクセナ本人と時間を共にし、彼女の経験や考え方を学びました。さらに、空軍将校としての身体的な動きや立ち振る舞いを身につけるため、フィジカル・トレーニングを受け、ボディランゲージを研究しました。こうした努力は批評家にも認められ、NDTVのサイバル・チャテルジー氏は彼女の演技を「まずまず堅実」と評し、『Film Companion』のRahul Desai氏は、彼女の「表面上はプライベートな演技」が「一分の隙もない（pitch-perfect）」と高く評価しました。

2021年には、コメディ・ホラー映画『Roohi』で、ラージクマール・ラーオと共に主演を務め、一人の人間の中に潜む二つの異なる人格という複雑な役柄を演じ分けました。また、今後は『Dostana 2』やカラン・ジョーハル監督の『Takht』といった期待される作品への出演も控えており、そのキャリアはさらなる広がりを見せています。

恵まれた出自を持ちながらも、多様な役柄に挑戦し、確かな演技力を見せ始めているジャーンヴィ・カプールは、インド映画界の将来を担う若手女優として、今後も国内外から注目を集める存在です。

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