ジュジェンベルク

スロベニアの古都、ジュジェンベルク

ジュジェンベルク（Žužemberk）は、スロベニアの首都リュブリャナの南東に位置する歴史ある都市です。クルカ川の左岸にそびえ立つ中世の城郭が象徴的で、その歴史は古く、ローマ時代にまで遡ります。この地域はドレンスカ地方の一部であり、現在は南東スロベニア地方に属しています。ジュジェンベルク市として自治権を持ち、周辺地域を統括しています。

歴史的背景

ジュジェンベルクの歴史は、ローマ人がこの地域を通る道路を建設した時代にまで遡ります。1246年には歴史文書にその名が初めて登場し、1399年には市場の権利を獲得しました。中世の城郭は1000年頃に建設されたとされ、聖ウルリッヒに捧げられた礼拝堂は1046年に建てられました。城郭の周辺には村落が形成され、職人や農民が生活を営み、その生産物を市場で取引していました。

16世紀には、司教クリストフォルス・ラウバー王子によって城郭が補強され、7つの防御塔が追加されました。1538年には、アウエスペルグ兄弟が城郭を購入し、以後数世紀にわたり、アウエスペルグ家がこの地を支配しました。特に、ヨハン・ヴァイハルト・フォン・アウエスペルグは、神聖ローマ皇帝フェルディナンド3世の教育係を務め、ハプスブルク帝国の初代大臣となるなど、一族の中で最も尊敬を集めました。

16世紀には、度重なる災禍に見舞われました。1559年には、ゲオルグ・フォン・アウエスペルグの隠し子グレゴールによって城が占拠される事件が発生しましたが、すぐに鎮圧されました。また、1575年には、ブルド城から来たアナ・フォン・エック伯爵夫人が、城の中庭で飼い慣らされた熊に殺害されるという悲劇も起きました。

17世紀には、アンドレアス・フォン・アウエスペルグやヨハン・ヴァイハルト・フォン・アウエスペルグなど、多くの著名な貴族がこの地で活躍しました。ヨハン・ヴァイハルトは、フェルディナンド3世の教育係を務めた後、枢機卿となり、故郷に戻って亡くなりました。アウエスペルグ家は、製鉄所を設立し、この地域の経済発展に大きく貢献しました。18世紀には、マリア・テレジアが、ジュジェンベルクの革製品業者が組合を結成することを承認し、皮革製品の製造が盛んになりました。

城郭は、長年にわたり刑務所としても使用されていましたが、1893年にはその役割を終えました。

第二次世界大戦中には、イタリア軍が城に駐留し、ゲリラ兵によって火災が発生しました。1945年には、ドイツの協力者であるスロベニア郷土防衛隊の拠点となり、連合軍の爆撃を受けました。城壁は甚大な被害を受けましたが、1960年代には修復工事が開始され、現在に至ります。

文化遺産

ジュジェンベルクは豊かな文化遺産を誇り、54の文化財が認定されています。そのうち12は国の重要遺跡です。

ジュジェンベルク城は、クルカ川を見下ろす中世の要塞であり、その歴史的価値は非常に高いものです。夏季には、城の中庭で観光協会によってフェスティバルが開催され、多くの観光客が訪れます。7月15日は、市の祝日として祝われています。

この地域には、聖ニコラス教会や聖アグネス教会など、古い教会が数多く残っています。聖ニコラス教会は、13世紀にゴシック様式で建てられ、14世紀に描かれたアダムとイヴのフレスコ画が特に有名です。また、聖ヘルマゴラスとフォルトゥナトゥス教会は、1769年に建てられましたが、1945年にパルチザンによって焼失し、スロベニア独立後に修復されました。

クルカ渓谷を通るローマ時代の道も歴史的価値の高い遺産です。トゥムラック丘陵には、いくつかの墓地と第二次世界大戦の碑があります。この碑は、彫刻家マルジャン・テピネの作品です。

ジュジェンベルク出身の著名人

ジュジェンベルクは、多くの著名な人物を輩出してきました。

アンドレアス・フォン・アウエスペルグ (1556–1593): カルニオラの貴族で軍事指導者
ヨハン・フォン・アウエスペルグ・ヴァイハルト (1615–1677): ミュンスターベルク公爵、ウィーン宮廷の指揮官兼議長
イグナツィ・クラインマイヤー (1795–1874): 出版者
カレル・ウレピッチ (1810–1862): 郷土史家、編集者
ヨシップ・ジヘラル (1860–1935): 作曲家
マリツァ・スラヴェツ・ナフティガル (1869–1962): 女優
イグナツィ・ファビアーニ (1882–1953): 作曲家
ヨージェ・ヤクシャ (1895–1954): 技術ライター、皮膚科医
ロザリヤ・スルシェン (芸名：ザラ・ザラナ) (1897–1967): 女優
フランツ・ブラジッチ (1897–1972): 作曲家
エルネスト・ペハニ (1900–1971): 技術ライター、電気技師
アルフォンズ・インクレト (1901–?): ジャーナリスト、畜産専門家
アンチャ・タウチャル・コンヴァリンカ (1901–1976): 技術ジャーナリスト、医師
ヴィンコ・グロボカール (1934-): 作曲家

まとめ

ジュジェンベルクは、歴史と文化が深く根付いた魅力的な都市です。中世の城郭や古い教会、豊かな自然が織りなす風景は、訪れる人々を魅了し、歴史と文化の奥深さを感じさせてくれます。アウエスペルグ家との関わりや、製鉄業の発展、そして激動の時代を生き抜いた人々の歴史が、この街の魅力を一層引き立てています。ぜひ、この歴史ある街を訪れ、その魅力を体験してみてください。

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