ジュズカケバト

ジュズカケバト（数珠掛鳩、Streptopelia risoria）

分類と名前の由来

ジュズカケバトは、ハト目ハト科に属する鳥類です。その和名である「数珠掛鳩」は、この鳥の最大の特徴である、後頸部に見られる黒く半月状の模様に由来します。この模様が、僧侶などが首にかける数珠のように見えることから名付けられました。学名は Streptopelia risoria といい、英語圏では Ring-necked Dove や Barbary Dove といった名前で知られています。

中央アフリカ原産のバライロシラコバト（Streptopelia roseogrisea）が、ジュズカケバトの原種であると考えられています。長年にわたる飼育や品種改良の結果として、現在のジュズカケバトの姿になったとされています。

形態的特徴

ジュズカケバトは比較的小型のハトで、全長は約25センチメートルから30センチメートルの範囲です。全体の体色は淡い灰褐色が基調となっており、柔らかい印象を与えます。

最も特徴的なのは、前述の通り、後頸部の黒い首輪状の模様です。これは、首の後ろ側から側面にかけた部分に現れる、細く鮮やかな黒色の帯で、数珠をかけたように見えることから名前の由来にもなっています。

翼を構成する風切羽は、体色よりもやや濃い黒褐色をしています。嘴は暗褐色で、脚はやや赤みを帯びた色合いをしています。

近縁種であるシラコバト（Streptopelia orientalis）と姿が似ていますが、ジュズカケバトはシラコバトに比べて、背中や翼の褐色みが薄いという点で区別することができます。

ギンバト（白変種）

ジュズカケバトには、全身の羽毛が真っ白になる白変種が存在し、これは一般的に「ギンバト（銀鳩）」と呼ばれています。ギンバトは純白の美しい姿をしており、嘴と脚は鮮やかな紅色をしています。この白変種は、特に観賞用や放し鳩として人気があります。

人間との関わりと生息状況

ジュズカケバトは、その温厚な性質と飼育のしやすさから、古くから世界各地で人間に飼育されてきた歴史を持っています。愛玩鳥としてだけでなく、伝書鳩として利用された時代もあったと言われています。現在でも、ペットとして多くの人々に親しまれています。

長年にわたる飼育の歴史の中で、一部の地域では飼育されていた個体が逸脱し、野生化する現象が見られます。野生化したジュズカケバトは、都市部や公園などで群れを作って生活していることがあります。特にアメリカ合衆国では、カリフォルニア州のロサンゼルス、フロリダ州のタンパやマイアミといった都市部で、野生化したジュズカケバトが大規模な群れを形成していることが報告されています。これらの野生化個体群は、現地の生態系に影響を与える可能性も指摘されていますが、詳細な影響については継続的な観察が必要です。

その他

天文学の分野では、はと座（Columba）のアルファ星に「ファクト（Phact）」という固有名がつけられていますが、この名前はジュズカケバトに由来するとされています。これは、古代の人々がこの星をジュズカケバトに見立てたことに起因する伝説や伝承に基づいていると考えられます。

参考文献等

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