シラコバト

シラコバト（Streptopelia decaocto）

シラコバトは、ハト目ハト科キジバト属に分類される鳥類の一種で、その美しい姿から「シラバト」や「ノバト」とも呼ばれています。特に埼玉県との関わりが深く、県の鳥や越谷市の鳥として指定されており、国の天然記念物にも指定されています。

形態

シラコバトは全長約30cmで、翼長は約20cm、尾長は約15cmほどです。体色は淡い灰褐色で、首の後ろには特徴的な黒い輪状の模様があります。雌雄同色であり、外見での区別は困難です。

分布

シラコバトは、ユーラシア大陸や北アフリカといった広範囲に分布しています。日本に生息する個体は、江戸時代に外国から移入されたとする説が有力ですが、もともと日本にも生息していたとする説も存在します。現在では、主に埼玉県東部を中心に生息が確認されています。

歴史と現状

第二次世界大戦後の乱獲により、シラコバトは絶滅寸前の状態に陥りました。しかし、1956年1月14日に「越ヶ谷のシラコバト」として国の天然記念物に指定されたことが転機となり、保護活動が進められました。その結果、近年では群馬県南部でも生息が確認されるなど、生息域が回復傾向にあります。また、山口県萩市の見島では、朝鮮半島から飛来したと考えられる個体の観察記録も残っています。

しかし、養鶏場の減少や鳥インフルエンザ対策などにより、埼玉県内での推定生息数は1982年の1万羽から100羽程度に激減しており、保護対策が急務となっています。

保全状況

IUCNレッドリスト：LEAST CONCERN (Ver. 3.1 (2001))
環境省レッドリスト：絶滅危惧IB類 (EN)
日本国指定天然記念物：「越ヶ谷のシラコバト」

人間とのかかわり

シラコバトは、1965年11月3日に埼玉県の「県民の鳥」に、1988年11月3日に越谷市の「市の鳥」に指定されました。また、埼玉県の様々なマスコットキャラクターのモチーフにもなっており、県民に広く親しまれています。童謡『鳩ぽっぽ』は、シラコバトの鳴き声をモチーフにしたとも言われています。

シラコバトに会える場所

埼玉県内には、シラコバトに関連する施設がいくつか存在します。

しらこばと水上公園: 越谷市とさいたま市岩槻区にまたがる公園
埼玉県立大宮武蔵野高等学校: 校章にシラコバトが図案化
キャンベルタウン野鳥の森: 越谷市にある公園で、シラコバトが展示
埼玉県こども動物自然公園: 東松山市にある動物園で、シラコバトの繁殖に取り組む
大宮公園小動物園: さいたま市大宮区にある動物園で、フライングケージ内で展示

翔んで埼玉とシラコバト

2019年公開の映画『翔んで埼玉』では、シラコバトが描かれた草加せんべいが、埼玉県民を判別するためのアイテムとして登場しました。

参考文献

埼玉県教育委員会『天然記念物緊急調査報告 越ケ谷のシラコバト』浦和〈埼玉県史跡名勝天然記念物調査報告書 ; 第3集〉、1982年3月。

関連項目

埼玉ポーズ - 手の形がシラコバトの羽をイメージしているとされる。

外部リンク

国指定天然記念物　越ヶ谷のシラコバト - 越谷市
シラコバトについて - 埼玉県
越ヶ谷のシラコバト - 文化遺産オンライン（文化庁）
越ヶ谷のシラコバト - 国指定文化財等データベース（文化庁）

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