ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ

ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ：スリランカの近代化に尽力した政治家

ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ（J.R.ジャヤワルダナ）は、1906年9月17日に生まれ、1996年11月1日に没したスリランカの政治家です。彼は、スリランカの第2代大統領として、同国の政治・経済・社会の発展に大きく貢献しました。彼の生涯と業績を振り返り、その多大な功績を称えましょう。

生い立ちと初期の活動

ジャヤワルダナは、セイロン（現在のスリランカ）の最高裁判所判事の息子として、11人兄弟の長男として生まれました。ロイヤル・カレッジ・コロンボで教育を受け、クリケット選手としても活躍しました。その後、仏教に改宗し、コロンボ法科大学で法律を学びました。

法曹界に進んだ後、1938年にセイロン国家機構（CNC）の活動家となり、政治の世界に足を踏み入れました。1946年には国民統一党（UNP）に加入し、1947年には初代蔵相として内閣入りを果たしました。

国際舞台での活躍

1951年、ジャヤワルダナは蔵相として国際連合に参加し、同年9月6日にはサンフランシスコ講和会議にセイロン代表として出席しました。この会議で彼は、日本に対する戦時賠償請求を放棄する演説を行い、世界に感銘を与えました。彼は、「憎悪は憎悪によって止むことはなく、慈愛によって止む」という仏教の教えを引用し、日本への寛容と友好を訴えました。

スリランカの指導者として

ジャヤワルダナは、蔵相、首相、そして大統領として、スリランカの要職を歴任しました。1977年には無投票で首相に選出され、1978年には大統領制移行後初の大統領に就任しました。彼は、自由経済政策を導入し、外国投資を促進することで、スリランカの経済発展に大きく貢献しました。

また、首都をコロンボからスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ（彼自身の姓にちなんで名付けられた）へ遷都しました。しかし、彼の在任中には民族間の対立が激化し、1983年にはスリランカ内戦が勃発しました。

日本との深い絆

ジャヤワルダナは、日本との友好関係を非常に重視していました。1951年のサンフランシスコ講和会議での演説は、その象徴的な出来事です。彼は、閣僚、首相、大統領として何度も日本を訪れ、昭和天皇と2回以上会見しました。政界引退後も日本を訪れ、日本の仏教関係者をスリランカに招待するなど、両国の交流に尽力しました。

1989年には、昭和天皇の大喪の礼に、プレマダーサ大統領の代理として夫人と共に参列しました。既に前大統領という立場でしたが、元首級参列者として丁重に扱われました。1991年には、日本の仏教関係者の招待で広島市を訪れ、広島平和記念資料館を見学しました。

死後の顕彰

ジャヤワルダナは、1996年に亡くなりました。彼の遺言により、形に残るものは残さないようにという意向から、スリランカ国内には墓が存在しません。しかし、日本との深い関係から、日本国内には彼を顕彰する石碑や銅像が複数個所に建立されています。東京都八王子市の雲龍寺、神奈川県鎌倉市の高徳院、長野県長野市の善光寺、愛知県愛西市の明通寺などに、彼の功績を称える記念碑があります。

さらに、彼は献眼を行い、角膜を提供しました。「右目はスリランカ人に、左目は日本人に」との遺言通り、左目の角膜は長野県の女性に移植されました。彼の日本への深い愛情がうかがえるエピソードです。

まとめ

ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナは、スリランカの近代化に尽力し、日本との友好関係を築いた偉大な政治家でした。彼の功績は、スリランカと日本の両国で長く語り継がれることでしょう。

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