角膜

角膜の概要

角膜（かくまく、英: cornea）は、目の最も外側に位置する透明な組織層で、視覚機能に欠かせない存在です。ヒトの角膜は直径約12mm、中央部の厚さが約0.5mm、周辺部が約0.7mmです。角膜は光を取り込み、それを屈折させて水晶体と協力し、目の焦点を合わせる役割を果たしています。また、角膜の表面は常に涙で覆われており、乾燥や細菌感染から眼球を保護しています。

発生学的起源

角膜の内層は前眼房の中皮に由来し、中胚葉が起源とされています。一方、外層は体表外胚葉から形成されます。この構成により、角膜は機能的にも重要な役割を担っています。

組織学的構造

角膜の構造は生物の種類によって異なります。ここではヒトの角膜の構成を見ていきましょう。ヒトの角膜は以下の6つの層から成り立っています。これらの層のコラーゲンは規則的に配列されているため、角膜は透明であるといえます。

1. 角膜上皮: 最も外側に位置する層で、重層扁平上皮から構成されています。再生能力が高く、傷がついてもすぐに回復します。
2. ボーマン膜: 外境界膜として機能する層です。
3. 固有層: 角膜の主な厚さを占める層です。
4. デュア層: 2013年に発見された、厚さ約15µmの層で、ハーミンダー・デュア氏にちなんで名付けられました。
5. デスメ膜: 内境界膜として知られる層です。
6. 角膜内皮: 最も内側の層で、単層立方上皮から構成されています。再生力は乏しいため、傷つくと修復が困難です。

角膜は血管を持たず、酸素や栄養素は涙や前眼房水から供給されます。このため、コンタクトレンズの酸素透過性が特に重要視されています。

知覚神経と反応

角膜には三叉神経第一枝からの眼神経が分布しており、刺激が加わると瞬目反射が引き起こされます。この反射は両側性で、片目だけが刺激されても両目が閉じる現象が見られます。瞬目反射は、臨床の場面での中枢神経系の機能評価においても重要な指標となります。

角膜移植

角膜は眼球内で移植可能な部位の一つです。水疱性角膜症などの難治性疾患に対する治療法として、角膜移植が広く行われています。現在、大阪大学では人工多能性幹細胞を用いて角膜細胞の移植手術が研究されています。また、中国ではブタ由来の人工角膜による手術も進行中です。

角膜炎

角膜に傷がついたり、アレルギーなどが原因となって炎症を引き起こす疾患を角膜炎と呼びます。主な原因には外傷、アレルギー、化学物質による刺激、感染症などが含まれます。角膜炎の症状には眼の痛み、涙目、充血、視力の障害などがあります。

まとめ

角膜は目の重要な構成要素であり、視覚に欠かせない役割を果たしています。その構造や機能、病態、治療法についての理解は、視覚の健康を維持するために非常に重要です。

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