ジュノー (ドック型輸送揚陸艦)

アメリカ海軍 ドック型揚陸艦 ジュノー(USS Juneau, LPD-10)

ジュノーは、アメリカ海軍が運用していたクリーブランド級ドック型揚陸艦の4番艦です。その艦名は、アラスカ州の州都であるジュノーに由来し、この名を持つ艦としては3隻目にあたります。

艦歴

1965年1月23日、ジュノーはワシントン州シアトルのロッキード・シップビルディングで起工されました。1966年2月12日には、アラスカ州知事ウィリアム・A・イーガン夫人によって進水し、1969年7月12日にアメリカ海軍の一員として正式に就役しました。

1970年代を通じて、ジュノーは西太平洋に展開し、ベトナム戦争においては、ベトナム海域への航海を8度重ね、その功績により5つの従軍星章を受章しました。1976年2月には、AV-8B ハリアー IIが着艦した最初の太平洋艦隊所属揚陸艦となりました。

1980年代には、ジュノーは7度の配備転換を経験しました。1989年4月には、プリンス・ウィリアム湾でタンカー、エクソン・バルディーズ号による大規模な石油流出事故が発生。ジュノーは緊急命令を受け、掃海作業を含む事態収拾に尽力しました。アラスカ州のジョイント・タスクフォース指揮艦として、400名以上の清掃作業員に対し、通信、空陸輸送、食料、医療、クリーニングなどの支援を提供しました。

1990年、イラク軍によるクウェート侵攻後、ジュノーは揚陸艦グループ3の僚艦12隻と共にペルシャ湾へ派遣され、砂漠の嵐作戦に参加しました。揚陸艦グループ2の艦艇も合流し、ジュノーは朝鮮戦争時の仁川上陸作戦以来最大規模の上陸作戦部隊の一員として作戦に参加。1991年2月24日には、サウジアラビアのラス・アル・ミシャブに、クウェート南部からイラク軍を攻撃する部隊員、装備、弾薬を揚陸しました。

1991年5月、ジュノーはバングラデシュに展開し、サイクロン被害に対する救援活動「シーエンジェル作戦」に参加しました。

その後も、14回目の配置転換でソマリア沖に展開し、国際連合ソマリア活動を支援する「レストア・ホープ作戦」に参加。乗船した海兵隊員は、ソマリアの人々への食糧供給を安全に確保する任務に従事しました。

1999年7月30日までカリフォルニア州サンディエゴを母港としていましたが、その後はドック型揚陸艦ダビューク(USS Dubuque, LPD-8)と交代し、長崎県佐世保を新たな母港としました。

1999年6月から9月にかけて、ジュノーは姉妹艦であるダビュークと最初のシップ・スワップを実施しました。両艦の乗員は引き続き元の母港に留まり、ダビュークは母港のカリフォルニア州サンディエゴに帰港しました。

2000年1月28日から31日にかけては、オーストラリアが主導する東ティモール国際軍の一部として、東ティモールに派遣されました。

2008年にミャンマーをサイクロン・ナルギスが襲った際には、救援作戦「オペレーション・カーリング・レスポンス」が実施されました。ジュノーはエセックス揚陸グループの一員として、ハーパーズ・フェリー (USS Harpers Ferry, LSD-49)やマスティン (USS Mustin, DDG-89) と共に作戦に参加。5月13日から6月5日までビルマ沖に停泊し、ミャンマー臨時政府がアメリカの支援を受け入れるのを待ちましたが、許可は下りず、6月上旬に部隊は予定通り帰還しました。

退役

2008年6月27日、海軍のローテーション計画に基づき、同級艦であるデンバー (USS Denver, LPD-9) とスワップする形で交代しました。当初は最新鋭揚陸艦ニューオーリンズ (USS New Orleans, LPD-18) が配備されるという話も出ましたが、最終的にはジュノーよりも少し古いデンバーが選ばれました。スワップ後、ジュノーは退役のためサンディエゴに向けて出航。2008年10月30日に退役し、現在はハワイに移動し、国防予備船隊で保管されています。

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