ジュマ・イカンガー

ジュマ・イカンガー

ジュマ・イカンガー（Juma Ikangaa）は、1957年7月19日生まれのタンザニア出身のマラソン選手です。1980年代において日本男子マラソン陣との競争において際立った存在であり、その卓越した実力から多くのファンを魅了しました。彼のベストタイムは2時間8分1秒で、これは1989年のニューヨークシティマラソンで達成されたものですが、当時の大会記録としては長い間破られることがありませんでした。

プロフィール

イカンガーは、高校を卒業した後、タンザニア陸軍に入隊し、陸上競技を通じて頭角を現しました。最終的に士官に昇進し、最終階級は少佐に達しました。1982年9月には、オーストラリアで開催されたコモンウェルスゲームズにて国際大会デビューを果たし、アフリカ人として初めて2時間10分の壁を破る2時間9分30秒のタイムで2位に入賞しました。

1983年の福岡国際マラソンでは、当時の日本のエース選手である瀬古利彦と最後の一歩まで競り合い、わずか3秒差の2時間8分55秒のタイムで2位に光る成績を収めました。このレースでイカンガーは世界記録保持者のサラザールを打ち破るという快挙を成し遂げ、一躍有名となりました。

その後も彼の活躍は止まることを知らず、1984年の東京国際マラソンでは優勝、ロサンゼルスオリンピックでは6位を記録しました。その後の1986年には自己ベストの2時間8分10秒で東京国際マラソンで再び優勝を果たし、その年には世界ランク1位にも輝くなど、彼は1400m級の実力派選手としての地位を確立しました。

1987年にはローマ世界選手権で6位、1988年のソウルオリンピックでは7位に入賞し、安定したパフォーマンスを維持しました。1989年にはニューヨークシティマラソンでそのキャリアの頂点に達し、2時間8分1秒で勝利を掴みました。その後、彼のキャリアは徐々に下降線をたどりましたが、五輪や世界選手権では依然として活躍を続けました。

日本での人気

イカンガーは「タンザニアの黒豹」という愛称で親しまれ、日本でも特に人気の高い選手です。彼の特徴的なレーススタイルは、常に先頭で引っ張ることで知られています。身長163cmという小柄な体格ながら、彼のスピード感あふれる走りは「タンザニア式ジェット走法」と称されています。

現在は指導者として若手選手の育成に力を注いでいるイカンガーは、2019年にはタンザニアのスポーツ委員会理事としてJICA理事長賞の表彰を受けるなど、その影響力は今もなお続いています。彼は日本でのレースにも積極的に出場し、1993年から1996年までの間、福岡国際マラソンに毎年参加しました。彼の成績とスタイルは、多くのマラソンファンに深く印象づいています。

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