ジュラシック・パーク/デビルズ・イン・ザ・デザート

ジュラシック・パーク/デビルズ・イン・ザ・デザート

『ジュラシック・パーク/デビルズ・イン・ザ・デザート』は、映画『ジュラシック・パーク』の世界観を基にしたコミック作品です。2011年に全4巻で出版され、ジョン・バーンが作画を担当しました。出版社はIDWパブリッシングです。本作にはコミック版の他に小説版も存在します。

物語の舞台は、『ジュラシック・パークIII』から数年を経たアメリカ南西部、特に南カリフォルニアの寂れた砂漠地帯にある小さな町です。静かな日常は、フランクリン家の牧場で発生した異様な事件によって破られます。家畜である牛や羊など十数頭が、何者かによって切り裂かれ、無残な姿で発見されたのです。

事件の一報を受けた町の保安官ウィル・トビアスは、被害者の息子であるタイラー・フランクリンの案内で現場へ向かいます。しかし、そこで目にしたのは、つい先ほどまでタイラーの父エディーが乗っていた馬の死体と、エディーの消えた姿でした。危険を察知したトビアスは、タイラーを一時的に親戚の家へ避難させ、本格的な捜査に乗り出します。

副官のダニエル・ジャクソンと共に現場を詳細に調べたトビアスは、そこで奇妙な四本指の足跡を発見します。この足跡の型を取り、調査のため州立大学へ送付します。しかし、謎の襲撃事件はその後も続き、近隣の他の農家も同様の被害に遭います。やがて、行方不明となっていたエディーの死体が、町の外れの州境付近で発見されます。

事態の深刻化を受け、FBIから捜査官ノア・ハーディングとコワルスキーの二人が派遣され、トビアスと合流します。彼らが現地へ向かう途中、先行していたコワルスキーの乗るヘリコプターが突如、正体不明の生物の攻撃を受け墜落。同じ頃、山中でハイキングを楽しんでいた家族もまた襲撃されます。

一方、州立大学に送られた足跡の型は、古生物学者のジョージ・ラミレス博士とその娘モニカ・アルバレス博士によって鑑定されます。彼らは、その特徴から、約6,500万年前に絶滅したと考えられている翼竜、プテラノドンのものだと結論づけます。さらに、プテラノドンがインジェン社の施設が存在したイスラ・ソルナ島から、何らかの要因でここまで飛来した可能性が高いと推測します。

プテラノドンの正体と驚くべき由来が判明した後、トビアス、モニカ、ハーディングらは協力してこの危険な生物の追跡を開始します。物語のクライマックスは、トビアスとモニカが飛行機でプテラノドンを追う中で訪れます。彼らの搭乗機はプテラノドンの激しい攻撃を受け、市街地にある動物園に墜落してしまいます。

動物園で、トビアスは住民を守るためプテラノドンに立ち向かいますが、その猛攻の前に倒れ、殉職します。モニカは辛くも脱出しますが、近くにいたホッキョクグマに襲われ絶体絶命の危機に陥ります。しかし、再び現れたプテラノドンがホッキョクグマに襲いかかったことで状況は一変。巨大な翼竜と獰猛な哺乳類の間で壮絶な縄張り争いが始まり、その激しい戦いの末、ホッキョクグマがプテラノドンを仕留め、その死体を貪り食います。この隙にモニカは辛うじて脱出に成功し、事態は終息を迎えます。後に彼女はトビアスの葬儀に参列しました。

主要な登場人物としては、事件の真相解明に尽力し犠牲となった保安官ウィル・トビアス、プテラノドンの正体を見抜き追跡に同行した古生物学者モニカ・アルバレス博士とその父ジョージ・ラミレス博士、襲撃を生き延びたFBI捜査官ノア・ハーディング、最初の事件に関連する少年タイラー・フランクリンなどがいます。また、インジェン社の開発プロジェクトチームから派遣されたカナダ博士も、プテラノドンの死体調査に登場します。

物語の主敵となるプテラノドンは、イスラ・ソルナ島由来とされる巨大な翼竜で、アメリカ南西部の砂漠地帯に巣を作り、家畜や人々を襲います。最終的には、動物園での戦いの中でホッキョクグマによって倒されるという意外な結末を迎えます。

本作は、『ジュラシック・パーク』シリーズの恐竜が、イスラ・ヌブラル島やイスラ・ソルナ島といった隔離された場所だけでなく、アメリカ本土にまで現れて混乱を引き起こす可能性を描いた、興味深い外伝的作品と言えるでしょう。

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