州

州（しゅう）についての詳細

州は、行政区画の一形態で、特定の国や地域の運営を担う重要な役割を果たしています。州の中心地には州都があり、州を率いる者は州知事または州長と呼ばれます。州の行政機関は州政府または州庁という名称で知られています。

州と洲の違い

「州」という漢字には、もともと中州を指す意味がありますが、現在では行政区画の意味も持っています。一方、「洲」という字は、川や湖の中にある小さな土地を指すために「さんずい」を加えたものです。日本では、日常的に「州」が使用されることが多く、特に「洲」は常用漢字ではないため、行政区画の表現で「州」を使うのが一般的です。古典文学や漢文では、集落の規模に応じて「州」と「島」を使い分けることもあります。

中国における州

中国では、古代の周代に2500戸の集落を指して「州」と呼んでいました。この概念は次第に地域単位へと発展し、全国を九つに分けて「九州」と称するようになりました。後漢時代には、州、郡、県という三段階の行政区画が設定され、全土を13の州に分けて、それぞれに刺史が配置されました。その後の王朝でもこの区分が維持されましたが、隋代に入ると郡が廃止され、州と県の二つに再編されました。

唐代には州の制度が改変され、州の上に道を設けるようになりました。宋代には、中央政府が州を直轄する体制が整えられ、州知事が任命されました。現在の中国においても、州は地級行政区の一つとして、第一級行政区の下、県級行政区の上に位置しています。これらの州は、特に少数民族の自治州として設置されていることが多いです。

日本における州

日本では、令制国の一部を「州」と呼ぶことがありましたが、個別の国名から一文字を取って州名にした例が多く見られます。例えば、武蔵国は「武州」と呼ばれ、長野県歌「信濃の国」に見られる「十州」とは、信濃国周辺の国々を指しています。また、日本全土を「六十余州」と表現するのも、過去に68の国があったことに由来しています。日本統治下の台湾では、州が行政区画として設置され、総督が州知事を任命していました。

その他の地域での州の例

朝鮮半島においても、新羅時代から「州」という行政単位が導入され、九州が高麗時代に成立しました。李氏朝鮮時代にはこれらが「山」や「川」に再編され、現在も韓国や北朝鮮にしばしば見られる地名が残されています。また、満州の「州」は、女真族系の国を指す名称で、後金によって統一された武名から派生したものであり、行政区画とは無関係です。

翻訳としての州

「州」という語は、他の国における地方の行政単位を指す際にも用いられます。例えばアメリカ、オーストラリアでは「州」と訳されるステート、カナダのプロヴィンス、ドイツのラントなどが該当します。これに対して、日本やフランスの制度では行政区画の違いがあるため、注意が必要です。

仏教における州の概念

仏教では、州は須弥山の周りに存在する四つの陸地を意味し、この影響から「アジア大陸」を「亜細亜洲」と呼ぶことにつながりました。さらに、世界全体を六大州に分けて、その中心に陸地を位置づける考え方が広がりました。

このように、州は単なる地理的区画にとどまらず、歴史や文化、さらには行政の概念と深く結びついている重要な言葉です。

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