ジュ・ド・ポーム

ジュ・ド・ポーム：歴史と特徴

ジュ・ド・ポーム（jeu de paume）はフランス語で「手のひらの遊び」を意味し、中世のヨーロッパで生まれた球技です。この競技はラケットを使ってボールを打ち合うスタイルが特徴で、現代のテニスや卓球、バドミントンの原型とされています。主に16世紀から17世紀のフランスとイギリスの王侯貴族や市民の間で人気があり、特にこの時期に全盛期を迎えました。19世紀になると、英語圏では一般的に「リアルテニス」として知られるようになりました。今日ではイギリス、フランス、オーストラリア、アメリカなどで多くの競技者が存在しています。

競技の名称の由来

ジュ・ド・ポームという名称は、当初素手で行われていた競技に由来しています。ボールを手で打つスタイルから、徐々にラケットを使うようになり、その際もフランス語では「ポーム」の語が使われ続けています。また、壁に囲まれた屋内で行う競技は「クルト・ポーム」、屋外で行うものは「ロング・ポーム」と区別されています。イギリスに伝わると、競技は単に「テニス」と呼ばれるようになり、過去の文献においてもその記録が見受けられます。

歴史の流れ

1874年にイギリスのウォルター・クロプトン・ウィングフィールドが新たに考案したスポーツ「スファイリスティケー」がローンテニスとして発展しました。このスポーツは、従来のジュ・ド・ポームとは異なる要素を取り入れつつも、歴史的な繋がりを持つものでした。そして1877年にはウィンブルドン選手権が始まり、ローンテニスが広まるきっかけとなりました。

コートの構造

ジュ・ド・ポームの競技は特有のコートで行われます。屋内コートは、床と壁面、そして庇から成り立っており、イギリスでの一般的なサイズは長さ110フィート、幅40フィートです。床は主に石やコンクリートで、色は伝統的に赤や黒が使用され、時には牛の血液で床を赤く染めたこともありました。コートは中央にネットがあり、サービスサイドとハザードサイドに分かれています。ネットは中央部分が低く設定されており、ボールを投げるためのペントハウスが設けられていることも特徴です。この部分は中世におけるボール投げの名残を象徴しています。

コートの種類と現存するコート

ジュ・ド・ポームのコートは主にデダーン型とカレ型の2つに分かれます。デダーン型では観客席がサービスサイドにあり、ポイントを獲得するためにはそこにボールを打ち込む必要があります。一方、カレ型ではデダーンやタンブールが存在せず、板や穴が機能する形になっています。残念ながら、現存する専用コートの数は限られており、約40か所に過ぎません。特にイギリスに多数のコートがあり、最古のコートはロンドンのハンプトン・コート宮殿に位置しています。

競技用具

競技用のラケットは、初期には素手や簡素な木のへらでプレイされていましたが、14世紀にはより進化した形状のラケットが使用され始めました。ラケットは片側に偏っており、壁際のボールを打つためにも適した形状になっています。

競技大会の現状

ジュ・ド・ポームは1900年のパリオリンピックで最初に公式競技として採用されましたが、ロンドンオリンピック1908年では多くの選手が参加し、高い注目を集めました。現代の世界選手権は1740年に始まり、1996年以降は偶数年に開催されています。トップの選手たちは国際的な舞台でその技術を競い合っています。

ジュ・ド・ポームは、長い歴史を持ちながらも現代のスポーツとして進化し続け、国内外で愛され続けています。

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