ジュールズ・ダッシン

ジュールズ・ダッシンについて

ジュールズ・ダッシン（1911年12月18日 - 2008年3月31日）は、アメリカの映画界において重要な役割を果たした監督、脚本家、俳優です。コネチカット州に生まれたダッシンは、ロシア系ユダヤ人の家庭に育ち、若い頃にヨーロッパで演劇を学びます。アメリカに戻った後、ニューヨークのイディッシュ語の舞台で俳優として活動を始め、演出家や放送作家としての経歴を経て1940年に映画界に進出しました。

彼の映画監督としてのキャリアは1942年に始まり、1947年には社会派映画『真昼の暴動』を発表しました。この作品でダッシンは強い社会批判を持った作品を制作し、注目を集めました。特に1948年に発表した『裸の町』は、当時のハリウッドの制約を超えたセミ・ドキュメンタリー方式で制作され、彼が一躍脚光を浴びるきっかけとなりました。この作品は、後に黒澤明の『野良犬』に影響を与えたとも言われています。

しかし、彼のキャリアは困難な時期を迎えます。1950年代に入ると、ハリウッドでは赤狩りが激化し、ダッシンは共産党の支持者であったことからブラックリストに載せられ、ハリウッドを離れることを余儀なくされます。彼は若い頃に演劇修業をしたヨーロッパに渡り、そこで彼の才能はさらなる花開きを見せました。特に1955年に制作したフランスのギャング映画『男の争い』では、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、国際的な評価を得ました。

その後もダッシンは多くの作品を手掛け、1957年の『宿命』や1958年の『掟』など、フランスとイタリアの合作映画で活躍しました。また、1960年にはアメリカとギリシャの合作映画『日曜はダメよ』でアカデミー賞にもノミネートされるなど、ダッシンの名前は国際的な映画界に広がりました。この映画の成功により、彼は舞台俳優としての経験を生かして作品に自らも出演するようになり、俳優としての顔も持つこととなります。

ダッシンは、主演女優のメリナ・メルクーリと1966年に結婚し、二人はおしどり夫婦として知られていました。彼の娘ジュリアは女優、息子のジョーは歌手としても活躍しています。ダッシンの映画にはメリナも数多く出演しており、二人はお互いのキャリアにおいて支え合っていました。

2008年3月31日、ダッシンはギリシャのアテネでインフルエンザの合併症によって亡くなりました。数日前から体調を崩して入院していたと言われています。ジュールズ・ダッシンの遺した作品や影響は、今でも多くの映画作家に受け継がれており、彼の名は映画史に刻まれています。

主な監督作品

• - 裸の町 (The Naked City) - 1948年
• - 深夜復讐便 (Thieves Highway) - 1949年
• - 街の野獣 (Night and the City) - 1950年
• - 男の争い (Du rififi chez les hommes) - 1955年
• - 宿命 (Celui qui doit mourir) - 1957年
• - 掟 (La Legge) - 1959年
• - 日曜はダメよ (Pote tin Kyriaki) - 1960年
• - 死んでもいい (Phaedra) - 1962年
• - トプカピ (Topkapi) - 1964年
• - 夏の夜の10時30分 (10:30 P.M. Summer) - 1966年
• - 夜明けの約束 (Promise at Dawn) - 1970年
• - 女の叫び (Kravgi gynaikon) - 1978年

以上がジュールズ・ダッシンの略伝と主な業績です。彼は映画界に多大な影響を与え続け、その功績は今なお色あせることはありません。

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