ジョアキン・アルベルト・シサノ

ジョアキン・アルベルト・シサノは、1939年10月22日生まれのモザンビークの政治家であり、1986年11月6日から2005年2月2日まで第2代大統領を務めました。

ポルトガル植民地時代のモザンビークで生まれ、黒人として初めて現地の高等学校に入学しました。その後、リスボン大学医学部に留学しましたが、1962年にモザンビーク解放戦線（FRELIMO）に入党し、大学を中退して祖国の独立運動に身を投じました。

独立後、FRELIMO政権下で1975年に外相に就任し、11年間務めました。しかし、その後、反政府組織であるモザンビーク民族抵抗運動（RENAMO）との内戦が勃発。1986年にサモラ・マシェル大統領が飛行機事故で急逝したことを受け、後任として大統領に就任しました。

大統領就任後、シサノはそれまでの社会主義政策を転換し、内政改革を断行。西側諸国に接近する現実的な外交戦略を採用することで、内戦終結に成功しました。国連監視下で行われた1994年の総選挙では、再度大統領に選出されています。

シサノ政権下において、モザンビークはアフリカで最も経済発展と民主化が進んだ国の一つとなりました。その功績が認められ、2003年にはアフリカ連合の第2代総長に就任しました。憲法では3選も可能でしたが、2期を務め終えた2005年、アルマンド・ゲブーザに大統領の座を譲りました。

引退後も、シサノは国際社会で活躍を続けました。2006年には国連のスーダン・ウガンダ地域での紛争解決特使に選ばれ、2007年にはアフリカの優れた指導者に贈られるモ・イブラヒム賞の第1回受賞者となりました。

温厚で調整力に長けた人柄と、現実的な行動力によって、シサノは母国モザンビークに平和と発展をもたらした政治家として、国内外から高く評価されています。彼は、現代アフリカを代表する指導者の一人として、その名を歴史に刻んでいます。

もう一度検索