ジョイ (スーパーマーケット)

スーパーマーケット『ジョイ』の歴史：住友石炭鉱業からイオン、そして消滅へ

この記事では、北海道でかつて親しまれたスーパーマーケット『ジョイ』の興亡について、その歴史を詳細に解説します。住友石炭鉱業の関連企業から始まり、イオン傘下を経てマックスバリュ北海道に吸収合併されるまでの道のり、そして最終的にブランドが消滅するまでの経緯を辿ります。

住友石炭鉱業と日本商事時代：配給所からスーパーマーケットへ

『ジョイ』の歴史は、1962年に設立された住友石炭鉱業の子会社である日本商事株式会社に遡ります。当初は住友の炭鉱における従業員向けの配給所運営が主な業務でしたが、1966年には札幌市に初のスーパーマーケット「いずみストア北光店」を開店し、スーパーマーケット事業へ本格的に進出しました。その後、他のスーパーマーケットを吸収合併するなどしながら店舗数を拡大していきます。1970年には、羽幌炭鉱の子会社であった大五商事の5店舗も引き継ぎ、子会社サニーマートを設立しました。

1972年、日本商事は札幌市内の「いずみストア」とサニーマートの店舗を統合し、「ジョイチェーン」を設立します。さらに、赤平市に赤平日本商事株式会社を設立し、赤平・歌志内地区の店舗を分離しました。1973年にはサニーマートを合併し、積極的にチェーン展開を進めていきます。1979年には、日本商事は住友石炭鉱業に合併され、同社の一部門となりました。

住友石炭鉱業時代：成長とスクラップ＆ビルド

住友石炭鉱業の一部門となった後も、『ジョイ』は順調に成長を続けました。1980年にはシージーシー北海道本部の設立にも参加。1981年には札幌市内2位の規模に成長し、年間1～2店舗の出店を続けました。1983年以降は老朽化した店舗の閉鎖と新築・改築を繰り返すスクラップ＆ビルドを行い、経営の効率化を図りました。1990年には売上高100億円を突破、住友石炭鉱業の売上の12.2％を占めるまでに成長しました。

一方、1972年に分社した赤平日本商事は「ニッショウ」に改名し、赤平市を中心とした地域で独自の展開を続けました。1994年には、住友赤平炭鉱の閉山に伴い、赤平市に大型スーパーマーケット「セリオあかびらニッショウマート」を開店しました。

イオンへの売却と株式会社ジョイの設立

2002年、住友石炭鉱業はスーパーマーケット事業を子会社エスシーエム興産に移管しました。ニッショウもエスシーエム興産の傘下となり、スーパーマーケット運営会社の一本化が図られました。しかし、競争激化により、ジョイは経営の危機に直面します。そのため、2004年にイオンがジョイを買収し、イオンの完全子会社として株式会社ジョイが設立されました。買収額は約18億円でした。

イオン傘下での展開とマックスバリュ北海道への合併

株式会社ジョイ設立後、イオンは新たな店舗展開を目指しました。2006年には、菱栄商事から5店舗を買収し、「ジョイ」ブランドに転換しました。しかし、業績低迷が続き、2008年にはマックスバリュ北海道に吸収合併されました。

「ジョイ」ブランドの消滅

マックスバリュ北海道への合併後も、「ジョイ」「プライスマート」「ニッショウマート」のブランドはしばらく存続しました。しかし、その後は多くの店舗が閉店、または「マックスバリュ」などに転換され、2018年10月31日、最後の「ジョイ」ブランド店舗が閉店し、ブランドは消滅しました。2020年には「プライスマート」ブランドも消滅し、ジョイに由来するブランドは完全に姿を消しました。

まとめ

『ジョイ』は、住友石炭鉱業の事業から始まり、イオン傘下での展開を経て、マックスバリュ北海道に吸収合併され、最終的にブランドが消滅するという、激動の歴史を歩みました。その歴史は、北海道のスーパーマーケット業界の変遷、そして地域経済の変容を映す鏡と言えるでしょう。多くの北海道住民の生活に深く関わってきた『ジョイ』の記憶は、これからも人々の心に残り続けることでしょう。

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