ジョス・アクランド

ジョス・アクランド：多彩な役柄で魅せたイギリス俳優の生涯

1928年2月29日、ロンドンに生まれたジョス・アクランド（本名：シドニー・エドモンド・ジョスリン・アクランド）。彼は、イギリスを代表する俳優として、舞台から映画、テレビドラマまで幅広く活躍しました。そのキャリアは、セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマでの研鑽を経て、17歳でオールドウィッチ・シアターでの舞台デビューから始まりました。

若き日のアクランドは、女優であったローズマリーと結婚。ケニアでの茶プランテーション経営を経て南アフリカへ移住するも、帰国後、オールド・ヴィック・シアターに参加。地道な努力を重ねながら、着実にキャリアを築いていきました。

彼の転機となったのは、1989年の映画『リーサル・ウェポン2/炎の約束|リーサル・ウェポン2_炎の約束』への出演です。南アフリカの駐米大使という、冷酷な麻薬密売組織の黒幕を演じきり、ハリウッドでの悪役、黒幕役としての地位を確立しました。しかし、彼の演技力は悪役だけにとどまりません。『飛べないアヒル』シリーズでの温厚な人物や、歴史上の人物など、善人や温かい人物像を演じ分けるなど、その演技力は実に多彩でした。

一方で、アクランドは1988年の映画『ペット・ショップ・ボーイズ 夢色の幻想』や、「Always On My Mind」のプロモーションビデオに出演。孫たちがペット・ショップ・ボーイズの大ファンだったことが出演のきっかけでした。しかし、後にビデオ出演を後悔していたことをインタビューで明かしています。

アクランドの私生活は、7人の子供（2男5女）と32人の孫に恵まれた、賑やかなものでした。しかし、1982年には長男ポールをヘロインの過剰摂取により失う悲しみを経験。また、2000年には妻のローズマリーが運動ニューロン病を患い、2002年に亡くなっています。こうした辛い経験も、彼の演技に深みを与えたことは想像に難くありません。

2000年にはCBE（大英帝国勲章）を受賞し、その功績が認められました。2023年11月19日、95歳でこの世を去りました。

アクランドの主な出演作品には、映画、テレビシリーズ、テレビアニメなど数多くの作品があります。中でも『ジュリアス・シーザー Shakespeare:The Animated Tales - Julius Caesar』では、ジュリアス・シーザー役の声優を務めています。また、自伝『My Better Half and Me』も出版し、その人生観を後世に伝えています。

ジョス・アクランドは、数多くの役柄を演じ分け、観客を魅了した、真の演技派俳優でした。彼の残した作品は、これからも多くの人々の心に残り続けることでしょう。彼の功績は、映画史に大きな足跡を残しました。

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