ジョセフ・ジェンキンス・ロバーツ

ジョセフ・ジェンキンス・ロバーツは、1809年3月15日にアメリカ合衆国バージニア州ノーフォークで生まれました。彼の父はウェールズ系の農園主とされ、母アメリアはムラート（混血）で農園主の妾でした。アメリアは、子供たちに実父を示唆する「ジェンキンス」というミドルネームを与えていました。農園主はアメリアとその子供たちを解放し、アメリアは後にジェームズ・ロバーツと結婚。ジェームズはアメリアの子供たちに自身の姓を与え、実子と同様に育てました。ジェームズはボート遊びの事業で財を成し、当時としては裕福なアフリカ系アメリカ人でした。

ジョセフ・ロバーツとその兄弟は、ヨーロッパ人の血を多く引いていたとされ、リベリアの歴史家からは「白人男性として通じるほどだった」と指摘されています。1829年、20歳でリベリアに移住したロバーツは、貿易業者として成功を収め、政治の世界にも関わるようになりました。リベリア連邦結成後の1838年に副知事に、1841年には知事に就任。彼は他の入植者たちと共に、リベリアの政治と経済を安定させるため、現地の部族との条約締結や外国からの承認獲得に尽力しました。

1847年、リベリアは独立を宣言し、ロバーツは初代大統領に選出されました。1849年にはイギリスを訪問し、リベリアを主権国家として承認させ、保証を得ることに成功。1852年にはヨーロッパ諸国を歴訪し、他の列強からも承認を得ました。1856年に一度大統領を退任しましたが、リベリアの大学設立や財政危機への対処に尽力。1872年から1876年まで再び大統領を務めました。1876年2月24日、ロバーツはリベリアの首都モンロビアで生涯を閉じました。

初代大統領としての活動

外交関係においては、ロバーツは就任当初からアメリカ合衆国からの承認を得ようと努めましたが、南部選出の議員や近隣の植民地を持つヨーロッパ諸国の反対により難航しました。1848年にはヨーロッパを訪問し、ビクトリア女王をはじめとする各国首脳と会談しました。その結果、イギリスが最初にリベリアを独立国家として承認し、次いでフランスも承認しました。その後、ポルトガル、ブラジル、サルデーニャ王国、オーストリア帝国、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ハイチがリベリアを承認しました。

経済面では、教育水準の向上を目指し、リベリア大学の創設に大きく貢献しました。ロバーツの政権下では、農業、造船、貿易が発展しました。彼はリベリアの基礎を築き、その後の発展に大きな影響を与えた人物として、歴史に名を刻んでいます。

関連事項として、アメリカ植民地協会が挙げられます。

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