ジョセフ・ドケーヌ

ジョセフ・ドケーヌの生涯と業績

ジョセフ・ドケーヌ（Joseph Decaisne, 1807年3月7日 - 1882年2月8日）は、現在のベルギーで生まれたフランスの植物学者です。当時のフランス支配下のブリュッセルで生を受け、後にパリへと移り住み、植物学の世界でその才能を開花させました。

初期の活動と植物学への傾倒

ドケーヌは、1824年にパリのフランス自然史博物館で庭師として働き始めました。植物園での業務を通じて次第にその地位を高め、植物学者アドリアン・ド・ジュシューの助手として研究活動に携わるようになりました。この時期、ヴィクトール・ジャケモンらによって海外から収集された植物の研究に携わり、植物学の研究者としての道を歩み始めました。彼は、多様な植物の記載を行い、藻類にも深い関心を示しました。

学術的な業績と評価

1847年、ドケーヌはフランス科学アカデミーの会員に選出され、1865年には会長という名誉ある地位に就任しました。1850年には、シャルル＝フランソワ・ブリソー・ド・ミルベルの後任としてパリ植物園の栽培部長に任命され、その植物学における専門性と指導力を高く評価されました。彼はフランス植物学会の創立にも尽力し、その発展に大きく貢献しました。さらに、1877年にはイギリス王立協会の外国人会員にも選出され、国際的な植物学者としての名声を確立しました。

主要な著作と影響

ドケーヌは、その生涯で数多くの著作を世に送り出しました。特に、1858年から1875年にかけて執筆された9巻に及ぶ大著『博物館の果樹園』は、彼の植物学における知識と情熱を集約したものであり、後世の植物学者に大きな影響を与えました。また、『19世紀の田舎の家』、『茜に関する解剖学的および生理学的研究』、『1845年のジャガイモ病の歴史』、『庭園と畑の初等植物誌』など、園芸や植物に関する様々な分野で重要な著作を残しました。共著としては、『庭園愛好家のためのマニュアル』や『世界周航記』などがあります。

後世への遺産

アケビ科の植物の属名であるDecaisnea（デカイスネア属）は、ジョセフ・ドケーヌの功績を称えて命名されました。彼の名前は、植物学の世界において永遠に語り継がれることでしょう。ドケーヌの研究は、植物の分類、生理学、園芸など、多岐にわたる分野に影響を与え、今日の植物学の発展の基礎を築きました。彼の残した業績は、現代の植物学者にとっても貴重な財産となっています。

主要な著作リスト

Maison rustique du XIX siècle. Encyclopédie d'horticulture pratique, cours de jardinage, rédigé sous la direction de M. Decaisne (1836)
Recherches anatomiques et physiologiques sur la garance, sur le développement de la matière colorante dans cette plante, sur sa culture et sa préparation, suivies de l'examen botanique du genre Rubia et de ses espèces (1837)
Histoire de la maladie des pommes de terre en 1845 (1846)
Flore élémentaire des jardins et des champs, accompagnée de clefs analytiques et d'un vocabulaire des termes techniques, par Emmanuel Le Maout et J. Decaisne (2 volumes, 1855)
Le Jardin fruitier du Muséum, ou Iconographie de toutes les espèces et variétés d'arbres fruitiers cultivés dans cet établissement avec leur description, leur histoire, leur synonymie (9 volumes, 1858-1875)
Manuel de l'amateur des jardins, traité général d'horticulture, par MM. Jh Decaisne, Ch. Naudin (4 volumes, 1862-1871)
Voyage autour du monde sur la frégate La Vénus commandée par Abel Du Petit-Thouars (1864)
Traité général de botanique descriptive et analytique, par MM. Maout|Emm. Le Maout, Jh Decaisne, ouvrage contenant 5500 figures dessinées par MM. L. Steinheil et A. Riocreux (1868)

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