ジョゼフ＝ニコラ・ドリル

ジョゼフ＝ニコラ・ドリル（Joseph-Nicolas Delisle, 1688年4月4日 - 1768年9月11日）は、18世紀フランスを代表する天文学者の一人です。パリで歴史家兼地理学者であったクロード・ドリルの11人兄弟の1人として生まれました。兄には著名な地図製作者ギョーム・ドリルがいます。

生涯と業績

ドリルは当初、古典を学んでいましたが、後に天文学へと進路を変更しました。J. Lietaudやジャック・カッシーニといった当時の著名な天文学者から指導を受け、着実に天文学者としての道を歩みました。1715年には、その業績が認められフランス科学アカデミーの会員に選出されました。

1721年、ドリルはロシアのピョートル大帝に招かれ、ロシアでの天文学者養成学校の設立という重要な任務を担うことになります。このロシア滞在は、ドリルに大きな名声と富をもたらし、1747年にパリへ帰還した際には、フランス王立天文官に任命されました。さらに、クリュニーに私設天文台を建設するまでになり、そこで助手としてシャルル・メシエを雇い入れました。メシエは後にドリルの後任として天文官の職を引き継ぎ、彗星探査家として名を馳せることになります。

ドリルは、1768年にパリでその生涯を閉じました。

水銀温度計とドリル度

ロシア滞在中の1732年、ドリルは水銀温度計を開発しました。この温度計では、水の沸点を0度とし、低温になるほど数値が大きくなるという独特の目盛を採用しました。この温度目盛は、現在「ドリル度」として知られています。ドリル度は、科学的な測定において、革新的な指標となりました。

天文学への貢献

ドリルは、虹が雲の中の水滴による太陽光の反射によって生じる現象であることを示唆しました。また、水星や金星を用いた天文単位（太陽までの距離）の測定法についても提案しました。これらの業績は、天文学の発展に大きく貢献しました。

1724年には、王立協会フェローに選出され、その功績は国際的に認められました。さらに、月面のクレーターの一つ（ドリル）と小惑星（12742）にも「ドリル」の名前が冠され、ドリルの業績は後世にまで語り継がれています。

関連項目

* 17世紀生まれの天文学者

ドリルは、18世紀の天文学界において、その知識、才能、そして行動力によって、多大な影響を与えた人物と言えるでしょう。

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