ジョッパ

ジョッパ：ヤッファの恵みと日本の挑戦

ジョッパ (Joppa sweet orange) は、オレンジの一品種で、その名前はパレスチナのヤッファ港に由来します。滑らかな果皮に包まれたほぼ球状の果実は、直径約7センチメートル、重さ約200グラムと、食べやすいサイズです。熟すと淡いオレンジ色に色づき、中には黄色みがかったオレンジ色の果汁豊かな果肉が詰まっています。種子は5～6個ほど含まれています。

ジョッパは、1877年、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンガブリエル・バレーのA.B. Chapman氏によって、ヤッファから持ち込まれた種子から育成されました。中熟種に分類され、日本では2月頃に収穫期を迎えます。しかし、その魅力的な風味とは裏腹に、ジョッパには大きな弱点がありました。それは、耐寒性の低さです。日本の冬の寒さでは果実が落下してしまい、商業的な栽培は非常に困難でした。そのため、現在ではカリフォルニア州でも栽培されていません。

福原オレンジの誕生：ジョッパの遺伝子を受け継ぐ

1899年、ジョッパは小松精一氏によって日本へ導入されました。しかし、前述の通り、日本の気候では栽培が困難であることがすぐに判明しました。転機が訪れたのは、それから約10年後、1909年頃のことです（正確な年は不明）。福原鼎司氏が自園のユズを台木にジョッパを高接ぎしたのです。この試みが成功し、日本の気候でも栽培可能なほど耐寒性を強化した新しい品種、「福原オレンジ」が誕生しました。福原オレンジはジョッパと非常によく似た特徴を持つことから、そのルーツをジョッパに持つことがわかります。

忘れられた品種、そしてその遺伝子

ジョッパは、その耐寒性の低さから商業栽培には適さず、日本においてはほとんど忘れられた存在となっています。しかし、福原オレンジという、日本の風土に適応した柑橘類の誕生に貢献した歴史を持つ品種です。ジョッパの物語は、気候条件と品種改良の難しさ、そして、新たな品種を生み出す可能性を示す、興味深い事例と言えるでしょう。カリフォルニア大学リバーサイド校のウェブサイトでは、Joppa sweet orangeに関する更なる情報が提供されています。現在、ジョッパそのものの栽培は非常に稀ですが、その遺伝子は福原オレンジを通じて、日本の柑橘農業の歴史に刻まれています。ジョッパの持つ風味や特徴は、福原オレンジに受け継がれ、現在も人々を楽しませています。

まとめ：ジョッパと福原オレンジの物語

ジョッパは、ヤッファ港に由来する風味豊かなオレンジですが、耐寒性の低さが商業栽培の大きな障壁となりました。しかし、その遺伝子は福原オレンジとして日本に受け継がれ、日本の柑橘農業に貢献しています。ジョッパの歴史は、品種改良の難しさ、そして自然環境との調和の大切さを教えてくれる、貴重な物語です。

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