ジョニー・ホッジス

ジョニー・ホッジス：甘美な音色のアルト・サックス奏者

ジョニー・ホッジス（Johnny Hodges、1907年7月25日 - 1970年5月11日）は、アメリカ合衆国出身のアルト・サックス奏者であり、デューク・エリントン・ビッグバンドでのソロ演奏でその名を知られています。長きにわたりサックス・セクションのトップを務め、その個性的な演奏スタイルはエリントン楽団のサウンドを特徴づける要素の一つとなりました。

生い立ちと音楽との出会い

マサチューセッツ州ケンブリッジで生まれたホッジスは、幼少期をボストンで過ごしました。音楽好きの母親の影響を受け、幼い頃からドラムスやピアノに親しみます。特にピアノはほぼ独学で習得し、10代の頃にはダンス・パーティーで演奏するほどの腕前となりました。その後、ソプラノ・サックスを始めたことが、彼の音楽人生を大きく変えることになります。

1920年、ホッジスはボストンのバーレスク・ホールでシドニー・ベシェの演奏を目の当たりにし、その才能に感銘を受けました。ベシェとの出会いは、彼に音楽家としての道を歩む決意をさせる大きなきっかけとなりました。1924年、18歳でニューヨークへと拠点を移し、プロの音楽家としてのキャリアをスタートさせます。

デューク・エリントン楽団への参加と活躍

1928年、ホッジスはデューク・エリントン楽団に加入します。当初はクラリネット奏者のバーニー・ビガードの推薦でしたが、すぐにその才能を開花させ、楽団の重要なメンバーとして活躍するようになりました。ベニー・グッドマンは、ホッジスを「これまで聴いた中で最も偉大なアルト・サックス奏者」と絶賛し、チャーリー・パーカーは彼を「アルトのリリー・ポンス」と評しました。

エリントンは、ホッジスのために「Confab with Rab」「Jeep's Blues」「Sultry Sunset」など、数多くの楽曲を作曲しました。これらの楽曲は、ホッジスの甘くスムーズなアルト・サックスの音色を最大限に引き出すものであり、彼の代表作として知られています。「Magenta Haze」「Prelude to a Kiss」「Haupe」なども、彼の演奏が光るエリントン楽団の代表的な楽曲です。

1951年から1955年まで、ホッジスはエリントン楽団を離れ、自身のバンドを率いて活動しました。1956年にエリントン楽団に復帰し、ニューポート・ジャズ・フェスティバルでの華々しい復活劇に貢献しました。

音楽的特徴と評価

ホッジスの演奏は、ブルースやバラードにおいて特にその魅力が際立ちます。純粋で美しい音色と、情感豊かなメロディは、聴く人の心を深く揺さぶります。長いビブラートや、滑らかな音の繋がりは、彼の演奏の特徴であり、多くの音楽家から尊敬を集めました。

ホッジスは、ベン・ウェブスターやジョン・コルトレーンなど、様々な時代の音楽家から影響を受け、また彼自身も多くの音楽家に影響を与えました。彼の音楽は、ジャズの歴史において重要な位置を占めています。

晩年と遺産

1970年5月11日、ホッジスは心臓発作により急逝しました。最後の演奏はトロントで行われ、そのわずか1週間後のことでした。最後の録音はアルバム『ニューオリンズ組曲』であり、未完のままとなりました。

エリントンはホッジスを追悼し、「音色がほんとに美しくてね、時に涙があふれてくるくらいだったよ」と語りました。ジョニー・ホッジスの音楽は、今もなお多くの人々に愛され、その甘美な音色は永遠にジャズの歴史に刻まれています。

彼の演奏は、ビデオ『Duke Ellington Copenhagen (1965): Parts 1 & 2』でも体験することができます。

ディスコグラフィー

1946: Passion Flower (RCA)
1951: Caravan (Prestige Records)
1951: Castle Rock
1952: Perdido Johnny Hodges and his Orchestra
1954?: In a Mellow Tone (aka Memories of Duke Ellington)
1955: Creamy
1957 Duke with a Difference - Clark Terry
1958: Blues-A-Plenty (Verve Music Group)
1959: Side by Side (with Duke Ellington)
1959: Back to Back (with Duke Ellington)
1961: Gerry Mulligan Meets Johnny Hodges
1961: Johnny Hodges with Billy Strayhorn and the Orchestra (Verve)
1961: Johnny Hodges at Sportpalast Berlin Pablo Records)
1964: Everybody Knows Johnny Hodges (Impulse! Records)
1965: Inspired Abandon with Lawrence Brown (Impulse!)
1967: Triple Play

With Billy Taylor

* Taylor Made Jazz (Argo, 1959)

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