ジョン・アボット (博物学者)

ジョン・アボットについて

ジョン・アボット（John Abbot、1751年5月31日 - 1840年12月または1841年1月没）は、イギリス出身の昆虫学者、鳥類学者、そして博物画家として知られています。彼はアメリカ合衆国に移住し、豊かな生態系を持つ地で、多くの標本と優れた博物画を残しました。彼の作品は、今日でもさまざまな博物館や大学に収蔵されています。

略歴

ジョン・アボットの人生について詳細はあまり知られていませんが、彼はロンドンに生まれました。父親は法律を学ばせましたが、昆虫学者のドリュー・ドルリーの影響を受けて、彼は昆虫学および美術に関心を持ったと言われています。アボットは特に、版画家のジェイコブ・ボノーから絵画や版画を学びました。その後、彼はドルリーと共同で王立協会の博物学者たちに認められ、バージニア植民地で博物学的な資料を収集するための移住を勧められました。

アボットは1773年から1775年までバージニアに居住した後、現在のジョージア州スクリーブン郡へと移りました。また、彼はアメリカ独立戦争にも従軍し、ジョージア第3大陸部隊に参加。その後は退役兵として数百エーカーの土地を受け取り、自らの農園を営み、地域の学校の校長を務めました。

博物画活動

アボットは生涯を通じて数百点の昆虫や時には鳥類の図を描きました。彼の作品はロンドンの自然史博物館や大英博物館、ハーバード大学のホートン・ライブラリなどに保存されています。また、ジョンズ・ホプキンス大学、サウスカロライナ大学、エモリー大学、アレクサンダー・ターンブル図書館にもアボットの作品が存在し、それぞれが彼と彼の作品を大切に保管しています。

アボットは多くの標本をイギリスやヨーロッパに送付しましたが、輸送中に多くが失われ、彼はそのことに深い失望を感じていました。それでも、彼は1835年まで採集と図版作成を続けたのです。

著作と影響

アボットの著作としては、『ジョージアの珍しい鱗翅目の自然史』（1797年）が最も知られています。この書籍では、彼自身の原画を基にした104の図版が添付されていますが、主著者はジェームズ・エドワード・スミスです。これらの原画はジョンズ・ホプキンス大学に保管されています。

また、1829年から1837年の間、フランスの昆虫学者ボワデュヴァルやアメリカの博物学者ジョン・イートン・ル・コントの協力を得て出版された北アメリカの昆虫図鑑『Histoire Générale et Iconographie des Lépidoptères et des Chenilles de l’Amérique Septentrionale』にも78点の手彩色版画が彼の原画を基に作成されています。これらの作品はサウスカロライナ大学で保管されています。さらに、スミソニアン協会にはアボットが描いた130枚の鳥の水彩画コレクションも保存されています。

ジョン・アボットは、その活動を通じて、アメリカの自然史研究に大きな貢献を果たしました。彼の作品は、科学だけでなく、美術の世界においても永遠の価値を持つものです。

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