ジョン・インガルズ

ジョン・ジェイムズ・インガルズ：カンザス州の自由州運動の立役者

ジョン・ジェイムズ・インガルズ（1833年12月29日 - 1900年8月16日）は、アメリカ合衆国カンザス州の政治家であり、特に反奴隷制の運動に尽力した功績で知られています。彼はマサチューセッツ州ミドルトンに生まれ、1855年にウィリアムズ大学を卒業しました。ここでの卒業論文は「ミイラの生活」と題され、学生生活をユーモラスに風刺したもので、彼の機知に富んだ性格を予感させるものでした。

卒業後、インガルズは法律を学び、1857年には法廷弁護士としての資格を取得しました。その後、カンザス準州に移住し、1860年にはアチソンに定住。彼は反奴隷制の運動に参加し、カンザス州を自由州として位置づけるために尽力しました。1859年にはワイアンドット憲法制定会議の代議員として働き、カンザス州のモットー「困難を克服して星を目指そう」（Ad Astra per Aspera）の策定を手掛けました。

1861年、カンザスがアメリカ合衆国の州に昇格した際、インガルズは州選出の初代アメリカ合衆国上院議員に選ばれました。この後、彼は州上院議員の秘書も務めました。南北戦争中にはカンザス民兵隊の法務官として活動し、戦争時の法律的な問題に対応していました。さらに、アチソンで「フリーダムズ・チャンピオン」という新聞の編集を3年担当し、その間に発表した一連の記事によって全国的な評価を得ることとなります。

1873年、インガルズはアメリカ合衆国上院議員として再選され、その職を18年間務めました。彼は労働者や農業者を支持し、企業の独占に対抗する立場を取りました。また、州際通商法や国家公務員法にも賛成し、広範な政治的影響力を持ち続けました。

1887年には上院仮議長に選出され、その鋭い皮肉と機知に富んだ発言で多くの称賛を受けました。1890年代には、彼の見識とユーモアが注目を集め、アメリカの政治界において重要な存在となりました。しかし、1900年8月16日、彼はニューメキシコ州イーストラスベガスでこの世を去りました。

インガルズの業績は、彼の死後も評価され続けています。1905年、カンザス州はアメリカ合衆国議会議事堂の国立彫像ホール・コレクションに、インガルズの大理石像を州の一つの彫像として寄贈しました。この像は後に女性飛行士アメリア・イアハートの像で置き換えられる計画があるとされています。彼の名前は、依然として自由や正義の象徴として記憶され続けています。

このように、ジョン・ジェイムズ・インガルズは、自身の信念を貫きながらカンザス州の自由州運動に大きく貢献し、アメリカの歴史に名を刻んだ重要な政治家であったのです。

もう一度検索