ジョン・クーチ・アダムズ

ジョン・クーチ・アダムズ (1819年6[[月5日]] - 1892年1[[月21日]]) は、イギリスを代表する19世紀の数学者にして天文学者です。彼の名は、海王星の発見という、天文学史に残る偉業に深く刻まれています。

コーンウォール州ラニーストに生まれたアダムズは、セント・ジョンズ・カレッジで学び、その後ケンブリッジ大学教授として33年間(1859年から)その職務に励みました。並外れた数学的能力を有していた彼は、天王星の軌道に観測された摂動に着目しました。これは、天王星の運動がニュートンの万有引力の法則だけでは完全に説明できないことを示していました。

1843年10月、アダムズは天王星の軌道のずれを徹底的に分析し、その原因となる未知の惑星の存在と、その位置を驚くべき精度で予測することに成功しました。この計算は、当時としては非常に複雑なものでしたが、アダムズは卓越した数学的才能を駆使して、この難題を克服しました。

興味深いことに、アダムズとは独立に、フランスの天文学者ユルバン・ルヴェリエも同様の計算を行い、海王星の存在と位置を予測していました。両者の予測はほぼ一致しており、そのわずかなずれは、計算上の誤差の範囲内でした。

アダムズとルヴェリエの予測に基づき、ドイツの天文学者ヨハン・ガレは1846年、彼らの予測位置からわずか1度以内という極めて近い位置に、新しい惑星を発見しました。この惑星こそが、太陽系の8番目の惑星、海王星です。

海王星の発見は、ニュートンの万有引力の法則の正しさを改めて証明するとともに、天体力学における計算力の重要性を示す偉業となりました。アダムズの功績は、この発見に留まりません。彼は月の軌道や、しし座流星群の軌道に関する研究も行っており、天文学の様々な分野に貢献しました。

彼の数学への貢献も無視できません。アダムズは常微分方程式の数値解法である「アダムス法」を開発しました。この解法は、複雑な微分方程式を解くための強力なツールとして、今日でも広く用いられています。また、数学分野における顕著な業績を称える「アダムズ賞」も彼の名にちなんで命名されています。

アダムズは1849年に王立協会フェローに選出され、1848年にはコプリ・メダル、1866年には王立天文学会ゴールドメダルを受賞するなど、数々の栄誉に輝きました。彼の功績は、海王星のリングにも反映されており、ガレ、ルヴェリエ、そしてアダムズの3人の名にちなんで「ガレ、ルヴェリエ、アダムスの環」と呼ばれています。

ジョン・クーチ・アダムズは、数学と天文学の両分野に多大な貢献をした、19世紀を代表する科学者の一人と言えるでしょう。彼の業績は、後の世代の科学者たちに大きな影響を与え続け、現代の科学の発展に貢献しています。彼の生涯と業績は、科学における地道な努力と、並外れた才能の結晶として、後世に語り継がれるべきものです。

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