ジョン・サイモン (初代サイモン子爵)

ジョン・オールスブルック・サイモン：激動の時代を駆け抜けたイギリスの政治家

ジョン・オールスブルック・サイモン（1873年2月28日 - 1954年1月11日）は、イギリスの政治家であり、初代サイモン子爵。自由党から身を起こし、その後の政界再編の中で、挙国派自由党を率い、保守党政権下で要職を歴任しました。彼の経歴は、20世紀前半のイギリス政治の複雑な変遷を映し出しています。

生い立ちと初期のキャリア

1873年、会衆派牧師の息子として生まれたサイモンは、1906年にウォルサムストー選挙区から庶民院議員に選出され、政界入りを果たします。自由党政権下では、法務次官、法務総裁、内務大臣といった要職を歴任し、その才能を発揮しました。しかし、第一次世界大戦中の徴兵制導入に反対し、内務大臣を辞任。この決断は、彼の信念を示すものとして注目されました。

自由党の分裂と挙国派自由党の結成

第一次世界大戦後、自由党はロイド・ジョージ派とアスキス派に分裂。サイモンはアスキス派に属し、アスキスの死後にはその指導者となります。その後、保護貿易主義に傾倒し、保守党との連携を深めていきました。1931年、マクドナルド挙国一致内閣が成立すると、自由党は内閣への参加を巡って分裂。サイモンは政権残留を主張し、挙国派自由党を結成します。この決断は、自由党の分裂を決定的なものとし、サイモン自身の政治的立場を大きく変えることとなりました。

サイモン委員会とインド問題

1927年、サイモンはインドの自治問題を調査するサイモン委員会の委員長に任命されます。しかし、委員会にインド人が含まれていなかったため、インド国民会議の反発を招き、インド各地で抗議運動が発生しました。1930年に提出された報告書は、インド側の要求に応えるものではなく、事態をさらに悪化させることとなりました。

閣僚としての活躍

挙国一致内閣において、サイモンは外務大臣、内務大臣、財務大臣といった重要閣僚を歴任しました。外務大臣としては、軍縮とナチス・ドイツに対する宥和政策を推進しましたが、野党からは批判も浴びました。また、第二次世界大戦中のチャーチル内閣では、大法官（貴族院議長）を務め、戦時下のイギリスを支えました。

晩年

1945年にチャーチル内閣が崩壊すると、サイモンは政界を引退。1954年に脳卒中で死去しました。彼の死後、爵位は長男が継承しました。

人物像

サイモンは、非常に有能な政治家であった一方、野心家であり、閣僚の地位に固執した人物としても知られています。その潔癖な性格から、政界を追われたサミュエルとは対照的に、マクドナルド、ボールドウィン、チェンバレン、チャーチルといった歴代首相の下で要職を歴任し続けました。

評価

ジョン・オールスブルック・サイモンは、激動の時代を駆け抜けたイギリスの政治家であり、その行動は賛否両論を呼びました。自由党の分裂、インド問題への対応、ナチス・ドイツに対する宥和政策など、彼の政治的な決断は、常に議論の的となりました。しかし、その才能と政治手腕は高く評価されており、20世紀前半のイギリス政治史において、重要な役割を果たした人物として記憶されています。

栄典

1940年：サイモン子爵
[1919年]]：[[大英帝国勲章]オフィサー（OBE）
[1930年]]：[[インドの星勲章]ナイト・グランド・コマンダー（GCSI）
[1937年]]：[[ロイヤル・ヴィクトリア勲章]ナイト・グランド・クロス（GCVO）

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