挙国一致内閣

挙国一致内閣の概念

挙国一致内閣（きょこくいっちないかく）とは、国家が直面する重大な危機に際して、対立する政党を含めた協力体制をもとに設立された内閣を指します。この種の内閣は、主に大規模な戦争や経済危機などの緊急事態に対応するために組織されます。このような内閣は、協力内閣（きょうりょくないかく）や大連立内閣（だいれんりつないかく）とも呼ばれることがあります。

各国における挙国一致内閣の例

日本

日本においては、1932年に海軍出身の斎藤実が内閣総理大臣となったのが挙国一致内閣の良い例です。また、1934年に設立された岡田啓介内閣も同様の性格を持っています。これらの内閣は政党による体制ではなかったものの、完全に独立した内閣とも言えず、通常は「中間内閣」として分類されます。さらに、1940年から1945年にかけて存在した大政翼賛会を支えとした内閣もこのカテゴリーに含まれるでしょう。

イギリス

イギリスでは、第一次世界大戦中に設立された第2次アスキス内閣やロイド・ジョージ内閣が有名です。また、1931年には世界恐慌への対応としてマクドナルド内閣が挙国一致内閣と言われています。第二次世界大戦の期間中、ウィンストン・チャーチルによって組織された内閣も、ほぼ全政党を巻き込んだ大規模なものとなりました。

ドイツ

ドイツ帝国においては、第一次世界大戦中に党派争いが一時的に停止し、全政党が政府の戦争遂行を支持する「城内平和」という挙国一致体制が構築されました。フランス第三共和政の同時期にも類似の体制が「神聖なる団結」として知られています。また、ハイパーインフレの危機に際して1923年に成立したシュトレーゼマン内閣は、全党派が参加・支持する挙国一致的な内閣として知られています。

イスラエル

イスラエルでも、1967年の第三次中東戦争の際にレヴィ・エシュコル政権下で野党のメナヘム・ベギンが参加することで挙国一致内閣が樹立されました。2023年10月には、パレスチナ過激派ハマースによる攻撃を受け、イスラエルは即座に反撃を行い、与野党での臨時統一内閣の樹立の機運が高まり、与党リクードは挙国一致内閣を発表しました。これにより、戦時対応に特化した内閣が発足し、その他の法案や政府決定は凍結されることになりました。

結論

このように挙国一致内閣は、危機的な状況に対応するための特別な政治的体制であり、国を越えて多様な形で存在します。各国の歴史において重要な役割を果たしてきた挙国一致内閣は、政党を超えた協力の重要性を示すものでもあります。

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